ピーク時の5分の1まで減少!
駅弁業者が苦戦している理由
もっとも多かった時代に約400社あった駅弁事業者は、2025年12月現在、約80社にまで減少している。実に、最盛期の5分の1だ。
「駅弁市場は確実に縮小しています。理由のひとつは選択肢の多様化。今や駅構内で購入できる食べ物は駅弁だけではありません。コンビニ弁当や総菜、パンなど、さまざまな商品が手に入ります。また、技術の発達によって新幹線や在来線の移動時間が短縮され、旅の目的地で食事をするニーズも高まっているようです」
旅行者にとって楽しみが増える一方、競合が増えたことが市場縮小を招いている。さらに、近年の米価格高騰も、駅弁事業者にとって大きな打撃だという。
「当社を含めてほとんどの駅弁にご飯が入っているため、米高騰の影響は避けられない状況です。また、以前はバスツアーで提供する駅弁の需要もありましたが、コロナ禍以降はバスツアー自体が減少して駅弁を食べる機会も減っています。加えて、数年前に某駅弁事業者が食品事故を起こし、業界全体のイメージダウンにつながりました。私たちは、伝統的に非常に厳しい基準を満たした衛生環境の中で駅弁を製造・管理しています。本来、起きてはならない事故だっただけに、同業者からも批判の声があがりました」
こうした逆風のなか、ホテル経営や仕出し弁当、給食事業など、多角経営に踏み切る動きも広がっている。
「当社は、1962年には各家庭でマイカーが普及したことを受け、構内営業の枠を出た『峠の釜めしドライブイン(現:荻野屋横川店)』をオープンしました。そういう意味では、業界内でも比較的早い段階で多角経営に乗り出していたと言えます。横川店の看板が、碓氷峠を舞台にした漫画『頭文字D』の作中に描かれたのをきっかけに、ファンのあいだでその看板が“聖地巡礼スポット”になっているのはうれしい誤算ですね」
同社ではほかにも、おにぎりと定食を提供する「おこめ茶屋 米米-めめ-」をはじめとした新業態や菓子製造業など、幅広い分野に挑戦している。
「2025年8月には、荻野屋初の高級レストラン『Restaurant O』をオープンしました。ミシュラン星付きレストラン出身のシェフを迎え、これまでとは異なる客層がターゲットの店舗です。こうした荻野屋の取り組みは創業時に由来しています。当社は横川駅の開設を機に、旅館業から構内営業へと大胆な事業転換を経験した過去があるんです。“お客さまに食を楽しんでもらう”という軸はぶらさずに、チャレンジをつづける姿勢は会社のDNAとして根付いています」







