かつて全国を駆け巡っていた寝台列車「ブルートレイン」の客車を改装した宿泊施設が、全国で5軒営業している。年季の入った客車を使った宿にもかかわらず、なぜ人気なのか? 経営面の課題も探った。(ライター 宮武和多哉)
全国5軒目の「ブルートレインの宿」香川県に開業!
新幹線や高速道路が全国各地を網羅する前、青い客車を機関車が牽引(けんいん)して夜通し走る「ブルートレイン」は、長旅の象徴でもあった。現在はそのほとんどが列車としての役目を終えているが、廃車となった客車が、全国各地で宿泊施設に転用されているのをご存じだろうか。
最近では、2023年4月8日に香川県観音寺市に開業した「四国遍路の駅 オハネフの宿」が話題だ。寝台特急「なは」の客車2両を再活用したこの宿泊施設は、子どものころから鉄道好き、ブルートレイン好きだったというオーナー・岸井正樹さんの手によって開業。鹿児島県阿久根市で朽ち果てようとしていた「なは」の客車を購入し、本業であるうどん店の収入に加えてクラウドファンディングで約1700万円を集め、700キロもの距離をトレーラーで輸送したという。
現在、この「オハネフの宿」を含めると、営業中の「ブルートレインの宿」は全国に5カ所ある。
各地の宿は、鉄道ファンの支持だけにとどまらず、幅広い顧客をつかんでいるという。なぜ、通常のホテルよりも年季が入った「ブルートレインの宿」が人気なのだろうか。