「流行りちゅうのは一度火がついたら……」
ヘブン邸にはまた梶谷(岩崎う大)が来ている。マエネーム・エズ・トキの記事は大ウケでこのフレーズが流行るかもと梶谷はご機嫌。いまでいう流行語大賞に朝ドラ(あまちゃん)の「じぇじぇじぇ」が選ばれたような現象が松江に起こりそうという感覚だろうか。
気を良くして新たなネタを求める梶谷。ヘブンが気を利かせて英語のレッスンをまたしようとすると、それはもういいとほんとうに厚かましい。
梶谷「毎日は飽きるかな」
ヘブン「あひる?」
トキ「ほかの話 ほしいそうです」
3人のこの会話が淡々としているのにおかしみがある。これが脚本家ふじきみつ彦の世界なのだろう。
そこへフミが何かを思いついて梶谷を台所へ連れていく。
かまどのすきまに箸を落として「とれなくて困っちょる」と言うのだ。
「そげな話」
司之介(岡部たかし)がたしなめると、梶谷は意外にも「ありだな」。
翌朝、「腕長ヘブン先生でも届かぬ隙間の箸 一家を救う者求む」という記事が出ると、たちまちたくさんの人達がヘブン邸に押し寄せて来た。我こそは腕自慢とばかりに箸をとろうと奮闘する。
「流行(はや)りちゅうのは一度火がついたら どげな些細(ささい)なことでも人は食いつくようになる」
梶谷は自信満々に言う。ほんとうに流行(はや)っているのか試すために、箸のネタを書いてみたら、こんなに人が来たと言うのだ。
「これおそらくホンモノだわ」
ヘブン一家の人気はホンモノ? ほんとに? あっという間に消費されて終わるタイプの流行だと思うけれど……。
司之介「家が広うなり、物が増えると隙間ができる。長屋には1つの隙間もなかったことを考えると、これは豊かになった証しだのう」
トキ「何 隙間でしみじみしちょるん」
隙間に箸が落ちたことなど、とるに足らない話題だと思っていた司之介が、今度は隙間に自分たちの生活の向上を感じて感慨にふけり、それをトキがツッコむ。これもまた、ふじきみつ彦の得も言えぬ味わいある会話である。
箸拾いで終わっていく第78回。まさに私たちは何を見させられているのか(悪い意味ではありません)。









