国家公務員がいきいきと働ける環境づくりを担う人事院。「公務員を元気に 国民を幸せに」というミッションのもと、国家公務員を対象にしたさまざまな施策を進めています。今回は、人材育成の観点から、管理職育成研修の一環として開催されたパーソネル・マネジメント・セミナー(テーマ:『リーダーの言語化』 講師:木暮太一氏)の背景や狙い、現場での学びについて伺いました。(取材・構成/ダイヤモンド社書籍編集局 吉田瑞希)
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「公務員を元気に 国民を幸せに」――人事院の役割とは
――まずは、「人事院」とはどのような機関なのか、お伺いできればと思います。
人事院 新倉(以下、新倉):人事院は、「公務員を元気に 国民を幸せに」というミッションを掲げ、国家公務員がいきいきと働ける環境づくりに取り組んでいます。民間企業で言えば、ホールディングスの人事部門のような役割を担っているイメージです。
企業の人事部が社員のための業務を行うように、人事院は国家公務員のための業務を行っています。
具体的には以下のような業務を行っています。
・国家公務員が安心して働ける勤務環境の整備
・よりよい行政サービスを支える人材の確保・育成
・時代の変化に応じた適正な給与の実現
・職員の利益保護と公正な人事管理の確保
現在、霞が関にある本院のほか、全国に9つの地方事務局(所)があり、約600名のスタッフが勤務しています。
「リーダーの言語化」をテーマにしたセミナーを開催した理由
――ありがとうございます。いまお伺いしたように業務が多岐にわたる中で、今回『リーダーの言語化』をテーマにセミナーを開催しようと思った理由はなんでしょうか。
新倉:今回、木暮様にご登壇いただいた人事院主催のパーソネル・マネジメント・セミナーは、人事院職員だけでなく、各府省の本府省や地方機関に勤務する管理監督職の職員を対象とした、マネジメント能力向上を目的とするプログラムとして、年1~2回実施しています。
対象となる管理職職員は、中央省庁のみならず日本全国で勤務しており、所管業務や働く環境もさまざまです。
しかし、「部下に思いを伝える」「指示を与える」といった行為は、どの管理職にも共通する重要な役割です。
本セミナーは、毎年テーマを変えながら十数年にわたって継続的に実施してきました。一つひとつのテーマに関連性を持たせ、知識やスキルを積み重ねる形で毎年の研修内容を企画しています。
たとえば、令和5年度には「シェアド・リーダーシップ」、令和6年度には「ネガティブ・フィードバック」をテーマに取り上げました。
そこからの流れとして、また、研修者の声を踏まえて、今年度は「リーダーシップの形」「部下とのコミュニケーション」「組織活性化」「個人成長のためのフィードバック」などのテーマを検討する中で、「伝わるように表現すること」や「伝えたい内容を正しく伝えるとは何か」という課題が浮かび上がってきました。
その後、研修テーマを具体的に決定する過程で、「言語化」や「問いかけ」というキーワードに注目し、さまざまな文献を調査する中で木暮様の著書や記事を拝見しました。
「ぜひこのテーマでお話を伺いたい」と考え、今回のセミナーの実現に至りました。
言語化が求められる場面
――さまざまな部署の方が受講されたと思うのですが、業務の中で言語化が必要だと思う場面、最もニーズが高い場面はどこであると感じていらっしゃいますか。
新倉:上司が部下に作業指示を伝える、あるいはフィードバックや評価を伝える場面もありますし、部下が上司へ報連相をする場面もあります。
その際、「正しく相互に伝え合うこと」は非常に重要なスキルだと考えています。どのような業務や部門、立場であっても、働いていく以上はコミュニケーションが必要であり、言語化のスキルは欠かせません。
また、上下関係に限らず、メンバー間で意見を出し合ったり、業務上の気づきを伝えたりすること、また、会議で意見を述べたりすることもあります。
しかし、「伝えたつもりが伝わらない」「どう表現すればよいかわからない」といった悩みや失敗は、どこの職場にも、誰にでも起こり得ることだと思います。
言語化スキルが向上すると、伝えたいことをどのように表現すれば相手に正しく理解されるのかを検討できるようになり、さらに適切な言葉として表現することにつながるものと考えています。
それが個人の成長にも、組織の成長にもつながると考えています。ですから、言語化スキルが必要なのは、すべての働く人だと感じています。
現在はテレワークも広がり、チャットやオンライン会議など、非対面でのコミュニケーションが増えています。だからこそ、正確に伝える力=言語化の重要性は、これまで以上に高まっていると実感しています。



