会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。
自走すべきは、メンバーではなくリーダー
拙著『リーダーの言語化』では、「『自分で考え、自走してくれるメンバーが欲しい』と考えている人は、リーダー失格」という話をしています。
リーダーの役割は責任を取ることではなく、メンバーに勝つための作戦と行動を伝えることだからです。
「自分で考えて動いてほしい」とメンバーに期待するのであれば、そう願う前にリーダーがメンバーにそれらを伝えていなければいけません。
そして同時に、リーダーが自ら作戦を考え、メンバーを動かしていれば、その組織はものすごい力を発揮します。
自走すべきなのは、メンバーではなくリーダーなのです。自走するリーダーがいる組織と、いない組織では結果に大きな差が生まれます。
経営者が示した方向性を基に、自分でゴールを設定し、ゴールにたどり着くための作戦を考え、チームにやるべきことを伝える。これがリーダーの役割です。
ただ、そう言われてもなかなか「自走するリーダー」にはなれません。それは、リーダー自身も何をしていいか分からないからです。
リーダーが明確にするべき3つのポイント
リーダー自身、チームをどう引っ張っていけばいいのかわかりません。それにはいくつか理由があります。
1. 経営者が掲げている「ビジョン」の内容が不明確
経営者が自社の方向性を掲げている会社があります。でも、そのフレーズが抽象的すぎて内容が理解されていないケースがほとんどです。「お客様第一主義」「唯一無二の技術で日本をよくする」など、聞こえがいいフレーズが並んでいますが、社員には伝わっていません。これらの目標に向けて、社員が今日から何をすればいいかはわからないのです。
メンバーにも伝わっていませんが、もっと言えばリーダーも明確に理解しているケースは少ないのではないでしょうか? そしてもし理解があいまいであれば、会社の方針に沿った指示をメンバーに出すことはできません。まずリーダーは、経営層が掲げた(あいまいな)ビジョンを明確に言語化する必要があります。