気持ちはよくわかる。希少資源を独占して恫喝をしてくるような「横暴な大国」に世界が一致団結して立ち向かう。そんな「正義vs悪」の戦いのカギを握っているのが、我が国の排他的経済水域に眠る国産レアアース、そしてこのゲーム自体をひっくり返すであろう日本の高い技術力――。こんなドラマのような展開に胸に熱いものがこみあげない日本人はいないはずだ。

 習近平主席が苦虫を噛み潰した顔で、世界各国に頭を下げて「やっぱり日本を敵にまわしたのは失敗だった」などと白旗を上げて降参する日を心待ちにしている、という方もたくさんいらっしゃることだろう。

 ただ、そういう「戦勝ムード」に冷水をぶっかけるようで大変心苦しいのだが今、一部のSNSやメディアにあふれている「レアアース輸出規制、日本の先手で中国涙目」みたいな話はかなり慎重に受け止めた方がいい。

 戦争でも経済問題でも「報道」というものはどうしても「自国ファースト」に偏りがちだ。何か問題が起きても、この国は他国よりも優れているので乗り越えられるとか、どんな苦境に追いやられても最終的には逆転勝利できる……などなど自分たちが世界の中心に世界が回っているかのようなご都合主義的な話になってしまう。

 なぜかというと、そういう「自国ファースト報道」ではないとニュースが売れないからだ。

 人は自分の信じたいことを信じ、聞きたい話を聞く生き物なので、自国が深刻なピンチに陥った時に追い討ちをかけるような暗い話はお呼びではない。それよりも「世界が日本を応援している」とか「日本の技術力でこの劣勢が一気に大逆転」みたいな「胸がスカッとする話」こそが求められる。そういうニーズにピタッとハマったものこそが「正しいニュース」とされる。

 つまり、今回の「レアアース輸出規制、日本の先手で中国涙目」という論調も、このようなバイアスによって、かなり話が盛られた「自国ファースト報道」がもたらせたもなので、あまり間に受けない方がいいということだ。

 そう思うのは、実は15年前にも同じようなことが起きているという「歴史の教訓」からだ。