資源がなくともみんなで一致団結をすれば、どんな危機でも乗り越えられるという日本人が太平洋戦争で描いた「理想の勝ち方」」である。当時、この記事を読んだ人は、さぞ、胸がスカっとしたはずだ。
ただ、実はこれが結果として、自国の勝利を過剰にふれまわり耳の痛い情報を取り上げない、という戦時中の大本営発表のようになってしまっていたというのは、残念ながら歴史が証明している。
日本が一時の勝利に酔いしれ、「これからは中国以外でレアアースを調達するぞ」と意気込んでいたこの13年ほど、涙目になっていたという中国が何をしていたのかというと「レアアース精製のシェア拡大」だ。
当たり前の話だが、鉱物資源は精製しなくては化学物質にならないので使えない。つまり、サプライチェーンを見直して中国以外からレアアースを調達したところで、精製を握られてしまったら負けなのだ。
わかりやすいのはアメリカだ。あまり知られていないが、実は同国はレアアース資源大国で、米地質調査所(USGS)によると、世界供給量の約12%を採掘しており、これは中国に次ぐ規模だ。
「ん? じゃあなんでトランプさんは中国にレアアースで頭が上がらないの?」と首を傾げるだろうが、その理由がまさしく「精製」を握られているからだ。
実はアメリカは自国で採掘したレアアースの約3分の2をわざわざ中国に輸出して、精製してもらってそれを「逆輸入」している。
なぜかというと、中国は世界のレアアース精製の約85%を握ってしまっているからだ。その厳しい現実をアメリカもトランプ大統領もよくわかっている。
《コロラド・スクール・オブ・マインズのペイン研究所のモーガン・バジリアン所長は「鉱石を化学物質や金属に加工・精錬する、いわゆる中流部門の役割は非常に重要だが、その分野は中国に支配されている」と指摘。中国が事業拡大の取り組みを進めているペースを考えると「この支配が崩れつつあるとは思えない」と語った》(The Wall Street Journal 2025年4月1日 https://diamond.jp/articles/-/362167)
豊富なレアアースを有するアメリカでさえこうなのだ。SNSでは「日本の『双日』がオーストラリアのレアアース企業ライナスと組んでいるから大丈夫!」ということが盛んに叫ばれるが、現時点ではその規模も精製能力も中国が圧倒的に勝っているのだ。







