5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?#33Photo:SANKEI

中国勢の価格攻勢や電気自動車(EV)市場の減速を受け、繊維・高機能素材大手は事業の選別を迫られている。東レは電池用セパレーターで減損を計上する一方、航空・宇宙向け炭素繊維を成長軸に据える。帝人はアラミド繊維と医薬品の巨額減損で過去最大の赤字に沈み、構造改革による再建を急ぐ。2社の中で世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#33では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、東レはシニア、帝人は若手の社員が勝ち組となるなど、両社で異なる構図が浮き彫りになった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

中国勢の攻勢・EV減速で高機能素材に逆風
東レは成長投資、帝人は抜本改革へ

 東レと帝人は、いずれも衣料用の繊維だけでなく、炭素繊維やアラミド繊維、機能材料、ヘルスケアまで抱える複合素材企業だ。両社に共通する逆風は、中国勢による汎用品の供給拡大とEV(電気自動車)市場の減速である。量を追うだけでは採算を確保しにくくなり、高付加価値分野へのシフトと不採算事業の整理を同時に迫られている。

 東レの2026年3月期は、純利益が前期比2.1%増の795億円となったものの、本業のもうけを示す事業利益は微減だった。韓国子会社のEV用電池セパレーターで減損を計上し、一般産業向け炭素繊維も低迷した。一方、主力の繊維事業は増益を確保し、全体を下支えした。

 27年3月期は航空機向け炭素繊維の回復などで増益を見込む。ただ、中東情勢に伴う原油高や、価格転嫁による販売数量の減少を事業利益で130億円のマイナス要因として織り込んだ。新たな中期経営計画では、29年3月期の事業利益2300億円を掲げ、航空・宇宙・防衛向け炭素繊維や機能化成品を成長のけん引役に据える。

 帝人はさらに厳しい局面にある。26年3月期の純損益は880億円の赤字となり、過去最大の赤字に沈んだ。アラミド繊維や糖尿病治療薬の販売権などで計889億円の減損を計上したためだ。衣料繊維や在宅医療機器分野は堅調だったものの、過去の大型投資の後始末が全社の業績を大きく押し下げた。

 帝人は27年3月期に純利益450億円の黒字転換を見込み、新中計では29年3月期の事業利益600億円を目指す。ただし、増益効果の過半は構造改革によるものだ。早期退職やアラミド・炭素繊維、医薬品の各事業でリストラを進める一方、繊維や在宅医療など安定した成長が見込める事業への投資を優先する。傘下の帝人フロンティアと旭化成アドバンスの経営統合も進め、衣料・産業資材での高付加価値化を狙う。

 東レは「航空・宇宙を中心とする高付加価値素材への成長投資」、帝人は「巨額減損後の事業再編と収益基盤の再構築」に軸足を置く。もっとも、足元の業績や事業環境がどうであれ、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。

 今回は東レ、帝人を取り上げる。2社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。

 対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。

 試算の結果、東レはシニア社員が勝ち組となったが、それ以外の世代は横並びだった。一方、帝人では若手の社員が優位となり、OB世代が割を食う構図となった。次ページでその詳細を確認しよう。