5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?#35Photo:SANKEI

製造業の自動化・省人化需要を取り込むキーエンスの勢いが加速している。2026年4~6月期は、中国を含むアジアの設備投資回復と円安を追い風に、純利益が前年同期比51%増の1391億円に達した。平均年収も2178万円と、5年連続で2000万円を超える。では、この超高待遇企業の中で世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#35では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、若手の社員が勝ち組となる一方、シニア世代が割を食う構図となった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

海外売上比率7割、営業利益率54%
「キーエンス流」直販を世界に広げる

 キーエンスは、工場の自動化や品質向上を支えるセンサー、測定器、画像処理機器などを手掛ける。2026年3月期の売上高は前期比10.4%増の1兆1692億円、営業利益は8.4%増の5957億円となった。純利益も4451億円と5期連続で過去最高を更新し、その勢いは26年4~6月期に一段と加速。売上高は前年同期比32.8%増の3466億円、純利益は51.0%増の1391億円となり、売上高営業利益率は54.0%に達した。

 成長のけん引役は海外だ。中国を含むアジアを中心に自動化・省人化需要を取り込み、売上高に占める海外比率は70.4%まで高まった。この成長を支えるのが、創業以来の強みである「直販体制」だ。自社の営業担当者が顧客の現場に入り込み、課題解決策を提案する現場密着型の営業スタイルを海外でも展開。そのための人材投資も加速させており、海外を中心とする人員は10年前の3.2倍となる約9400人に増え、国内単体の約2.9倍に達している。

 もっとも、足元の増益率をそのまま実力値と見るのは早計だ。26年4~6月期は円安によって、売上高が261億円、営業利益が189億円押し上げられた。中国を含むアジアの設備投資が持続するか、米国の関税や地政学リスクの影響をどこまで吸収できるかも不透明だ。キーエンスは27年3月期の通期業績予想を開示しておらず、海外の人材採用と営業体制の拡充を続けられるかが、今後の成長を左右する。

 25年12月には、40代の中野鉄也氏が社長に就任した。年功序列の色が薄く、個人のスキルや成果を昇格や処遇に反映する実力主義は、直販体制と並ぶキーエンスの特徴だ。26年3月期の平均年収は前期比139万円増の2178万円となり、5年連続で2000万円を超えた。10年前と比べても401万円増えている。

 もっとも、平均年収が2000万円を超えるからといって、社員の処遇が世代横並びで改善してきたとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。

 今回はキーエンスを取り上げる。同社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。

 対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。

 試算の結果、キーエンスでは若手の社員が勝ち組となった。一方、OB世代は相対的に割を食う構図となった。国内最高峰の給与水準を維持し続ける会社の中で、なぜこうした世代差が生じたのか。次ページでその詳細を確認しよう。