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トランプ関税と電気自動車(EV)戦略見直しの逆風で、自動車大手の明暗が鮮明になっている。ホンダはEV関連損失で上場来初の赤字に転落し、日産自動車は本業の不振で巨額赤字に沈んだ。スズキは関税の影響が小さい一方で、原材料高が重荷となり、トヨタ自動車だけがなお高水準の利益を確保している。こうした4社の中で、世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#30では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、ホンダはシニア社員が優位、スズキとトヨタはOB世代が勝ち組となった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
トランプ関税とEV見直しで明暗
大きく異なる自動車大手4社の勝ち筋
ホンダ、日産自動車、スズキ、トヨタ自動車の4社は、同じ自動車大手に見えても、足元では「何で稼ぎ、どこが重荷で、次に何を伸ばすのか」がかなり異なる。トランプ関税の負担に加え、電気自動車(EV)需要の減速や中国市場の競争激化が重なり、各社の経営環境は一段と厳しくなった。そんな中でも、耐性の差がはっきり出ている。
ホンダは苦しい状況に追い込まれている。急進的な脱エンジン戦略が誤算となり、EVの開発中止で2026年3月期に1兆5778億円の損失を計上。純損益は4239億円の赤字に沈み、これは上場来初の赤字転落となった。EV関連の損失は27年3月期も続き、さらに5000億円を計上する見込みだ。ホンダはEVからハイブリッド車(HV)へ軸足を戻し、経営の立て直しを急ぐ。
日産自動車も苦境が続いている。25年3月期に6708億円の最終赤字に陥ったが、26年3月期も5330億円と巨額赤字を計上した。経営再建はなお途上である。
スズキはこの2社とは立ち位置が少し違う。北米事業が小さいため、トランプ関税の影響は少なかった。26年3月期の純利益は前期比5.6%増の4392億円となり、過去最高を更新した。堅調なインドや二輪が業績を力強くけん引した形だ。
業績で別格の強さを見せたのはトヨタ自動車である。26年3月期の純利益は3兆8480億円と前期比では減ったが、それでも国内企業の中では突出した利益水準だ。トランプ関税の影響額は1兆3800億円に上ったが、なお販売を伸ばし、HVを軸とした全方位戦略と地域分散が強みとなっている。
この4社は、同じ自動車大手に見えても、実際には「EV戦略の修正を迫られる会社」「再建の途上にある会社」「インドと二輪で稼ぐ会社」「全方位で事業展開する会社」に分かれている。もっとも、足元の業績や事業環境がどうであれ、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。
今回はホンダ、日産、スズキ、トヨタを取り上げる。4社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。
対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。
試算の結果、ホンダはシニア社員が勝ち組になった。日産は現役社員のうち2世代が優勢で、スズキとトヨタはOB世代が最上位となった。自動車大手でも、報われる世代の構図は大きく異なる。次ページでその詳細を確認しよう。







