5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」 氷河期、バブル…どの世代が損をした?#31Photo:123RF

中国の過剰生産による安値鋼材の流入と原材料高で、国内鉄鋼事業には逆風が吹く。日本製鉄は買収した米USスチールの再建を収益拡大の柱に据え、JFEホールディングスはインド投資と高級鋼、神戸製鋼所は機械事業の拡大で成長を狙う。こうした3社の中で世代間の「年収格差」はどうなっているのか。特集『5世代格差の残酷!主要100社26年版「20年間年収推移」氷河期、バブル…どの世代が損をした?』(全39回)の#31では、過去20年間の推移を10年刻みにして、5世代別の平均年収と主要100社内ランクを独自に試算した。その結果、日本製鉄と神戸製鋼は若手の社員、JFEはシニア社員が勝ち組になるなど、各社で異なる構図が浮き彫りになった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

中国鋼材の過剰輸出で国内に逆風
日鉄は米国、JFEはインド、神戸鋼は機械へ

 日本製鉄、JFEホールディングス(HD)、神戸製鋼所の鉄鋼大手3社は、中国の過剰生産に伴う安値鋼材の輸出や国内需要の低迷、原材料・物流費の上昇という共通の逆風に直面している。価格転嫁や国内生産体制の効率化だけでは成長に限界があり、各社は海外市場や非鉄鋼事業に次の収益源を求めている。

 日本製鉄は、2026年3月期の純利益が前期比95.1%減の171億円まで落ち込んだが、27年3月期は2200億円への急回復を見込む。反転の主役は、25年に買収した米USスチールだ。日本から技術者を送り込み、歩留まりや品質の改善を進め、同社の在庫評価損益などを除く実力ベースの事業利益を1000億円へ引き上げる計画である。ただ、巨額の設備投資と金利負担も抱えており、米国事業の再建が日本製鉄全体の成長を左右する。

 JFEHDも26年3月期は純利益が701億円と前期比23.6%の減益だったが、27年3月期は1500億円への回復を計画する。原材料価格の上昇に伴う在庫評価損益の改善やコスト削減に加え、高付加価値鋼材の販売を伸ばす方針だ。成長市場では、インド鉄鋼大手の子会社BPSLに2700億円を出資し、電磁鋼板など高級鋼の拡大を狙う。米国でも現地大手との合弁を視野に入れ、海外の成長を取り込もうとしている。

 神戸製鋼も26年3月期の純利益が前期比22.0%減の937億円となった。27年3月期は資産売却益などを支えに1000億円への増益を見込む一方、鉄鋼・アルミを中心とする素材系事業は、中国鋼材の過剰輸出による市況低迷で収益が悪化している。値上げとコスト改善を進めつつ、ガス圧縮機など収益性の高い機械事業でM&Aを検討し、素材系事業への依存を薄めようとしている。

 3社は同じ鉄鋼大手でも、「米国の大型買収を収益化する会社」「インドと高級鋼で成長する会社」「機械事業の拡大で素材依存を薄める会社」に分かれている。もっとも、足元の業績や事業環境がどうであれ、社員の処遇が世代横並びで改善するとは限らない。むしろ「どの局面で会社にいたか」「どの賃金カーブ・評価制度に乗ったか」によって、同じ会社の中でも「得をした世代」と「割を食った世代」が生まれる。

 今回は日本製鉄、JFEHD、神戸製鋼を取り上げる。3社の中で、年齢別に長期で年収を比べた場合、団塊・バブル期・就職氷河期・ゆとり世代のうち、どの世代が恵まれていたのか。ダイヤモンド編集部は、過去20年間を10年刻みにして、「5世代の年収」と「主要100社内ランク」の推移を独自に試算した。

 対象としたのは、2000年代から現在までの、20~50代の現役世代から、60~70代のOB世代まで。「それぞれの世代はこの20年で給料を幾らもらっていたのか」「その会社の中ではどの世代が得をしたのか」「日本の主要企業100社の中で、年収序列は高かったのか」。これらを徹底検証し、47項目のデータとして残酷なまでの格差をあぶり出した。

 試算の結果、日本製鉄と神戸製鋼は若手の社員が勝ち組となった。一方、JFEHDはシニア社員が最上位だった。OB世代は3社とも劣位で、鉄鋼大手に共通する構図も浮かび上がった。次ページでその詳細を確認しよう。