
実は日本の上場企業には「年収1億円以上」のビジネスパーソンが1199人もいる。果たして、どんな顔触れなのだろうか?報酬が、諸外国に比べて低過ぎるという指摘もあるだけに、年収が高いこと自体は批判されるべきではないだろう。ただ、業績や株式市場からの評価が振るわないにもかかわらず、1億円ももらっているのであれば、従業員や株主は心穏やかではいられないかもしれない。そこで、ダイヤモンド編集部では上場企業3890社を対象に、年収1億円以上の経営陣を調査、業界ごとに実名でのランキングを作成した。特集『「最新版」1億円以上稼ぐ取締役1199人の実名! 上場3890社「年収1億円以上幹部」ランキング』(全24回)の#20では、繊維業界の報酬ランキングを掲載する。(ダイヤモンド編集部 井口慎太郎)
繊維業界は年収1億円以上が11人
好調の東レと、辛くも黒字キープの帝人の幹部の待遇は?
繊維業界では、衣料用途が欧州市場の低迷で苦戦したり、海外の安価な製品との価格競争が激しくなったりと、厳しい事業環境が続く。大手各社は航空機向けの炭素繊維やエレクトロニクス産業向けのフィルムといった高付加価値な製品で収益を確保している。裏を返せば、多角化に成功しないと利益を上げるのは難しい状況になっている。
東レは、ユニクロを運営するファーストリテイリング向けの衣料、航空機大手・米ボーイング向けの炭素繊維、電子部品用途のフィルムがそろって好調。2025年3月期の純利益は前期比3倍超の779億円だった。
一方、帝人は25年3月期に自動車部品などを製造する北米の複合成形材料事業の採算悪化などで952億円の減損損失を計上。電子コミック「めちゃコミック」を手掛ける子会社インフォコムを売却してなんとか黒字を確保した。
そんな、繊維業界で「年収1億円以上」の経営幹部は、どれほどいて、どんな顔触れなのだろうか?
ダイヤモンド編集部では、経営トップの会長、社長のみならず役員を対象に、年収1億円以上の高額な報酬を受け取っている人物を業界別に集計した。1社から複数人が記載される場合もある。また、本特集では高収入を単純に批判する狙いはない。ランキングには、年収額と併せて、PBR(株価純資産倍率)、ROE(自己資本利益率)、時価総額も掲載しているので、それらに「見合う年収」を得ているかの参考にしてほしい。
集計の結果、繊維業界で「年収1億円以上」は11人いることが判明した。全業界の平均が38.7人だから、かなり少ない。トップは、一般への知名度は高くない会社の社長で、年収額は2億円だった。
東レ、帝人、セーレン、オンワードHDといった企業の幹部たちは、幾らもらっているのだろうか。全業界の上場企業の平均と比較して水準は高いのだろうか。次ページで実名と共に一挙に見ていこう。