やさしいさえずりのようなクルルルという鳴き声は、ミルドレッド・モエルク(編集部注/心理学者。自身の飼い猫が発する鳴き声の音声学的研究を発表し、猫の言語界に革命を起こした)によって音声学上“mhrn”と表記されている(ハトが喉を震わせて「クークー」と鳴く声を想像してほしい)。
この心地よい小さな声について、19世紀の作家ラフカディオ・ハーンは「やわらかい、さえずるようなルルル、まさに声による愛撫」と表現している。
子猫は成長とともに声帯が発達し、小さなミーミーは次第により複雑な、いわゆるミャオという鳴き声になる。しばらくのあいだ病院と農場の成猫を観察しているうちに、私はフェルディナンド・ガリアーニ(編集部注/経済学者。1772年に記した猫の鳴き声についての日記で、図らずとも猫研究の先駆者となった)が1772年に発見したように、猫たちが互いにミャオとは鳴かないことに気づいた。
ときどきシャーと声をあげ、一緒に座っているときには静かに喉を鳴らすが、せいぜいその程度だった。その後の研究で、最もよく聞かれる成猫のミャオは、もっぱら人間とのコミュニケーションで発せられることが明らかになった。
厳しい自然界に生きる野生の猫の場合、子猫が自立するにつれてミーミーは徐々に減る。だが、快適な家で暮らす猫にとっては、ミャオは間違いなく人間に対して最も頻繁に発せられる鳴き声だ。飼い猫は、ミャオにクルルルやゴロゴロを組み合わせることが多い。
人と関わる長い歴史の中で
猫は音の重要性を認識した
人間と同じで、なかにはおしゃべりな猫もいる。バーミーズやシャムなど、とりわけ東洋の純血種はおしゃべり好きな猫として知られる。とはいえ、多くの場合、雑種の飼い猫も飼い主に甘えるようにミャオと鳴いている。
では、なぜ私たちに向かってミャオと鳴くのか。
人間と関わりを持つようになった1万年ほどのあいだに、猫はにおい、尻尾や耳の動きといった彼らのさりげないコミュニケーション方法を私たちが理解するとは限らないということを学んだ。
人間の注意を引くには音を立てる必要がある。しかも多くの種類の。
順応力の高い猫にとって、鳴き声を利用するほど理にかなったことはあるだろうか。幼いころ、母親の反応を得るのにあれだけ役に立ったのだから。







