猫は意識的に鳴き声を
使い分けることができる?
ニカストロの研究で、リビアヤマネコ(イエネコの祖先)と比べて、イエネコの鳴き声は人間の耳にはるかに心地よく聞こえることが判明した。
これは音の高さの違いに関係すると考えられる。イエネコの鳴き声が609ヘルツであるのに対して、ヤマネコは平均して255ヘルツとずっと低い。
また、野良猫と飼い猫の鳴き声を比較した研究では、野良猫のミャオは飼い猫よりもかなり低いことも判明した。野良猫の鳴き声の高さは、ニカストロが調べたヤマネコの鳴き声に近かった。つまり、人間との関わりが何らかの形でイエネコの鳴き声に変化をもたらしたことを示している。
興味深いことに、保護された当初、野良猫はほとんど鳴き声をあげないが、保護施設で過ごすうちにミャオと鳴く回数が増えてくるという報告を耳にする。私が農場で観察していた猫たちも、毎日帰り際に餌をやるときだけ近づいてきたが、時間がたつにつれて少しずつ鳴きはじめた。猫は物覚えがよい。
他の動物の鳴き声を意図的に真似て獲物をおびき寄せるのは、マーゲイ(Leopardus wiedii)というヤマネコの一種だ。
このことは、アマゾナス連邦大学(ブラジル)のファビアーノ・デ・オリヴェイラ・カレイアの研究チームがアマゾン熱帯雨林で行った調査によって明らかになった。
この地域に棲息するさまざまなヤマネコの種について予備知識を集めるために、現地で暮らす人々に話を聞いた。すると、真偽は定かではないが、クーガー(Puma concolor)、ジャガー(Panthera onca)、オセロット(Leopardus pardalis)がアグーチ(南米に棲息するげっ歯類)や鳥といった獲物の鳴き声を真似ておびき寄せるという複数の証言が寄せられた。
ある日、研究チームがオマキザル科のフタイロタマリンの群れを追跡していたところ、マーゲイがタマリンの子どもの鳴き声を真似て、見張り役のタマリンの注意を引こうとする現場に出くわした。困惑した見張り役は、木を登ったり下りたりしながら子どもの鳴き声に耳を澄まし、仲間に警戒を促した。







