「ありがとう」の言い方を
相手で変えていた

 MVP投票を行ったBBWAAの記者たちに対しては、こう述べています。

 A deep appreciation goes out to all of you writers for recognizing the hard work and efforts.
(私の努力を認めてくださった記者の皆様に、深く感謝申し上げます)

 記者たちは客観的に選手を評価し、公式な投票を行う立場にあります。大谷選手にとって、彼らは日常的に親しく交流する相手ではありません。

 このビジネス上の関係に対して、格式ある「deep appreciation」を選ぶことで、彼らの専門性への敬意を示しています。授賞式という公式な場で、投票権を持つ記者に対して砕けた表現を使うことは、彼らの仕事に対する敬意を欠くことになりかねないからです。

 ドジャースの球団組織に対しても、同様にフォーマルな表現を選んでいます。

 Thank you to the Dodgers organization for believing in me, and embracing my vision.
(私を信じ、私のビジョンを受け入れてくださったドジャース球団に感謝します)

「embracing my vision」という表現は特に秀逸です。単に「支援してくれた」ではなく、自分のビジョンを組織が「抱擁するように受け入れてくれた」というニュアンスを伝えています。大谷選手の年俸は10年で7億ドルという類を見ない契約であることからも分かるように、双方の信頼関係の深さが伝わってきます。

 一方、裏方スタッフに対しては、全く異なる表現を使っています。