じつは、顔の筋肉から腸の内壁にいたるまで、身体を構成するすべての細胞には、感情に関与する化学物質を受け止めるレセプターが存在するという。

 つまり、あなたが認める、認めないにかかわらず、「怒り」「失意」「恐怖」「不安」といった好ましくない感情がスイングという繊細な動きに大きなダメージを与えるのだ。

 当時、すでに長嶋はまるでそのことを知っていたかのように、この言葉で表現していると感じるのは、私だけだろうか?

 スランプであるという事実を考える心の余裕がないほど目の前の作業に全身全霊を注いでベストを尽くす。これ以外に強力なスランプ脱出法はあまり見当たらない。

自分を信じて数多く
チャレンジすることが成功への道

レギュラーシーズンも七月を過ぎれば
半分ぐらいのチームのファンは
希望はしまいこんで
悩みばかりになっているのだろう。
だが、忘れてならないのは、
いつも明日がある、ということだ。

(『野球へのラブレター』)
――野球選手がシーズン中に持つべき心構えを語った言葉

 長嶋のような一流の人間の共通点は「未来志向」であること。一方、並の人間は過去を悔やんだり、ちょっとした失敗をしただけで簡単に塞ぎ込んだりしてしまう。しかし、長嶋の未来への自己期待は半端ではない。

 置かれた状況の解釈の優劣が一流と並の人間を隔てるのだ。どんな逆境に見舞われても、その状況の解釈の優劣により、その人間のその後の運命が決まる。

 その気になれば、誰でもポジティブになれる。チャレンジして仕事の結果がよくなければ、「次は必ずうまくいく!」と自分に語りかけよう。そして、うまくいけば、「次も必ずうまくいく!」とつぶやけばいい。

 スポーツにかぎらず、ビジネスでも、成功に導く秘訣は、数多くチャレンジすること。

 とにかく理屈抜きに、この世の中は、数多くチャレンジした者が勝利を収めるようにできているのだ。