野球も真面目に運営したいと思っているから、プロ野球の球界再編問題の時も、彼はすごく本を読んで勉強して、理屈で色々答えるわけですよ。ただ理屈で答えなくてもいいところも理屈で答えてしまうから、彼と野球界はずれていく。結局、真面目すぎてああいうことになった。気の毒だとは思いますが、ある面では自業自得かもしれない」
当時、球界再編担当記者としてスポーツ法学を勉強していたという加藤俊一郎もまた、渡辺の法律や協約への精通ぶりを認める一方で、世論を読み違えたと指摘する。
「渡辺さんの『選手がオーナーと対等に話をする協約上の根拠はない』という発言は、野球協約の上ではその通りです。NPBに選手関係委員会という組織はありますが、フロントなど球団幹部との話し合いの場で、オーナーと話す場ではありません。文意としては間違っていませんし、協約上の論拠は備えています。
ただ、『たかが』という言葉が付いていたのが問題でした。情が理に勝つことはままある。そこを渡辺さんは読み違えていたのではないでしょうか」
渡辺は球界再編問題を
どう振り返るのか
あの騒動から二〇年、渡辺自身は球界再編問題をどう振り返るのか、改めて問うた。
「まあ腹は立ったね。腹は立ったけど、別に巨人が潰れるわけでも何でもない。かえってプロ野球に対する関心が強くなって、お客が減らない。あんなに色々騒がれたってね。巨人軍は収入減らんわな。
自分たちが追い出されると思った人もいるんだろうね、球団の中には。そういう人たちが『渡辺を潰せ』『渡辺のあれ〔主張〕を潰せ』と。一リーグにしたら、てめぇら潰れちまうというような余計なことを思ったんだね。潰す気は無いのよ。生かそうと思って提言したことをそういうふうに取った。もう勝手にしやがれと思ったね」
――「ひいきの球団が無くなる」とファンが反発する気持ちは。
「あるのかもしれんがね。だけども、あれだけ反対で潰されてやられるとね、〔球団再編は〕面倒くさくなるわな。こっちは今のまま現状維持で何も困らない。困っている人たちのために一肌脱ごうと思っているの。ああやって裏でね、色々足引っ張ってやるんなら、もう勝手にしやがれということで、もう手引きしちゃったね。球界再編は。







