すでにみずからの引き際を探っていた長嶋は、1999年シーズンから原辰徳を野手総合コーチに据え、すでに後任の監督として育てることに専念したのだ。

 長嶋の訃報に接し、原はこう語っている。

「勝負に厳しく、人に優しく、誰からも愛される方でした。私にとって、長嶋さんは憧れで、野球というスポーツの象徴でもあり、神様のような存在でした。私の中で長嶋さんはいつも燦然と輝き、選手、コーチ、監督、すべての立場で最も影響を受けました。残念ですが、現実を受け止めるしかありません。ご冥福をお祈りいたします」(「週刊ベースボール」2025年6月23日号)

 みずからの引き際を悟り、チームの将来を見据えて、後任を託す人間に、みずからの持てる采配術のノウハウをすべて丁寧に与えるリーダーこそ、長嶋のような一流のリーダーの共通点である。