また、中途半端な出店は顧客満足度を下げる危険性もあります。店舗が狭く、品揃えも十分でない店舗を出すと、逆にお客様の不満につながりかねません。

「これだけしか品揃えがないのなら、Eコマースで買う方がいいのでは……」と顧客に思われてしまうリスクがあるのです。

あえて店舗数を減らし
各店舗の売上を伸ばす

 このような状況の中で、ユニクロは少子高齢化社会に対応する独自の取り組みを始めています。

「買い物難民」の問題に対応するための、移動販売車を活用した取り組みです。たとえば、静岡市の中山間地「オクシズ」への進出事例では、高齢化率56%という地域において、「買い物場所」や「移動手段」の確保を実現するための社会実験として、買い物支援事業を展開しました。

 これは既存の店舗展開だけでは対応できない地域に対するアプローチであり、地域に密着した「究極の個店経営」の発展型とも言えます。人口減少社会に対する企業としての社会的責任を果たしながら、新たな顧客層を開拓する手段にもなっています。

 こうした取り組みは、単に売上を上げるだけでなく、社会課題の解決にも貢献するという点で、ユニクロの「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というパーパスの実現にもつながっています。

 このような状況下で、ユニクロは従来の小売業の常識を覆す方向に舵を切っています。出店数をやみくもに増やすのではなく、むしろ店舗数を減らしてでも、各店舗の売上を伸ばすという方針です。

 ユニクロは、日本で出店ポテンシャルのあるところには、店舗を出し尽くしています。そのため、新しいところに出すよりも、むしろ一定の収益を下回る店舗を閉店させて、他の店舗と統合させる方が合理的なのです。

EC売上高を現在の
6倍以上に伸ばすために

 実際に、ユニクロは日本国内の店舗数を減少させる方向に舵を切っています。以前は900店舗以上あった国内ユニクロ店舗数は、2020年8月期に813店、2024年8月期には797店と減少しています。