一方で、同期間に海外店舗は1439店舗から1698店舗へと増加しており、成熟市場での効率化と成長市場での積極展開という明確な戦略が見て取れます。

図表:店舗数の変化同書より転載 拡大画像表示

 この国内での統廃合の戦略は、各店舗の固定費(家賃、人件費など)を大きく変えないまま、売上を大きく増やす効果があります。その結果、売上高に占める儲けの割合を示す営業利益率は高まります。

 旗艦店を再設計しながら、各店舗の質と効率を高める取り組みを進めているのです。

 収益性の低い店舗を閉鎖し、その地域の顧客には、少し距離が離れても、より品揃えの豊富な大型店舗に来てもらう。あるいは、Eコマースを利用してもらうという戦略です。

 また、EC事業を伸ばしながらも実店舗を維持できている理由として、試着の重要性があります。お客様が大型店舗に来店して、試着をしたうえで、Eコマースで買っても、ユニクロ全体の収益で考えれば問題ありません。

 ユニクロはEコマースとリアル店舗の融合(オムニチャネル)にも積極的に取り組んでおり、グループ全体のEC比率を現在の約15%から30%に引き上げる目標を掲げています。これは売上高10兆円を見据えた場合、EC売上高を現在の6倍以上に伸ばすことを意味します。

「国民的カジュアルブランド」から
「高機能高品質ナショナルブランド」へ

 また、近年の価格戦略の変化も注目すべき点です。コロナ禍前と比較して平均15%近い価格上昇をしており、「低価格高品質な国民的カジュアルブランド」から「中産階級向け高機能高品質ナショナルブランド」へと変貌しつつあります。

 これは単なる値上げではなく、商品価値と商品開発力の向上に裏付けられたものです。

 たとえばヒートテックは発売から20年間で世界累計販売15億着を突破するなど、高機能商品として定着しています。

 また、2024年秋には東レとの10年にわたる共同開発により、ユニクロ史上最も軽くて暖かい高機能アウター「パフテック」を発売しました。こうした高付加価値商品の開発が、価格戦略の変更を支えています。