こうした戦略は1店舗あたりの売上高や利益を着実に増加させており、2024年8月期の国内ユニクロ事業だけでも売上収益9322億円(前期比4.7%増)、営業利益1558億円(同32.2%増)と、過去最高の業績となっています。
ユニクロの国内営業戦略は単に店舗数を減らすだけでなく、各店舗の売上を伸ばすための具体的な施策があるからこそ成功している戦略です。その中心となるのが「究極の個店経営」という考え方なのです。
店舗スタッフ全員で
店舗経営に取り組む体制
ユニクロの「究極の個店経営」という考え方は、2014年に打ち出されました。それまでの「チェーンストアオペレーション」という全国一律の管理手法から、各店舗がその地域に密着した独自の経営をするという方針への「180度の転換」でした。
チェーンストアオペレーションとは、本部が全国の店舗に対して、品揃えや売場展開、価格設定などをほぼ一律に指示する方法です。
これにより効率的な運営が可能になりますが、地域によって異なる顧客ニーズに応えることが難しくなります。
チェーンストアオペレーションは店舗経営においても大きな課題があります。それは店長の異動です。
多くの小売チェーンでは、店長は定期的に異動します。ユニクロは特にその頻度が高く、「3年で3回移動する」ケースもあると言います。これは店長の育成には効果的ですが、地域に密着した経営を行うにあたっては、課題となります。
店長にしてみたら、やっとその地域に基盤ができたと思った頃に異動しなければいけません。
『ユニクロの戦略』(宇佐美潤祐、SBクリエイティブ)
もちろん、一日も早く地域に根ざそうと勉強しますが、限界はあります。むしろ、アルバイトも含めた店舗スタッフの方が、異動がないため、地域の情報に詳しい場合も珍しくありません。
こうした課題を解決するために、ユニクロは「店長の異動が影響しない仕組み」をつくりました。店長だけでなく、店舗スタッフ全員で店舗経営に取り組む体制を構築したのです。これが「究極の個店経営」の基盤となっています。
同時に、「地域正社員」という制度も充実させています。これは、特定の地域内でのみ勤務する社員のことです。転勤がないため、その地域に深く根付いた知識を持つことができます。今では地域正社員を中心に店舗を運営していこうというのが1つの大きな流れになっています。
店長の上司にあたる、複数店舗を統括するスーパーバイザー(SV)も、地域限定で登用する動きが進んでいます。現場だけでなく、上流から地域正社員を増やすことで、地域色を意識的に濃くして、店長個人の異動に左右されず、組織として地域に密着できる体制を構築しているのです。







