能登半島先端部ではM7.6という濃尾地震(1891年)以来の大地震に見舞われ、道路が陥没・崩落して孤立地域が続きました。また、北部の沿岸で最大4メートルの隆起を記録し、それにともない海岸線が海方向に約250メートル移動しました。

 こうした地殻変動は地震学が近代的な観測を始めた19世紀以降では最大規模で、各地の漁港で港が干上がって使えなくなる事態となりました。

 隆起によって海上からの救助活動もままならず、冬の気候や地形的な制約でヘリが使えない不運も重なりました。

 これまで日本では大都市へインフラの集中が進み、その反面として過疎地へのインフラ整備が大幅に遅れていました。結果として、住民の基本的な安全を確保する道路が数十年前の状態に放置され、災害の際に最も弱い部分にしわ寄せが来る事態を招きました。

 これまで国は、首都直下地震をはじめとして過度な人口集中により災害が増幅する大都市には、地震対策に大型の予算を割いてきました。一方、財政逼迫の折から、日本海側に広く点在する過疎地域には必要なインフラ整備がおこなわれず、今回のように道路が寸断され救助に駆けつけられない被害が続出しました。

 太平洋側にくらべると北陸地方や山陰地方では、高速道路も含めて道路整備が遅れたことが遠因になったと考えられます。

 地盤の隆起も今後の課題となるでしょう。地震で地盤が変動する現象は過去にも見られましたが、関東大震災(1923年)では2メートル隆起し、東日本大震災(2011年)では1.2メートル沈降、熊本地震(2016年)では2メートル沈降しました。

 よって今後、能登半島で隆起した港を使うには、下の岩盤を砕いて水揚げ施設を4メートル掘り下げるなどの工事をしなければなりません。今後こうした復興作業に膨大な予算が必要となります。

太平洋側を激甚災害が襲ったとき
日本海側は重要な拠点となる

 実は、日本海側の防災は近未来の日本全体の課題とも密接に関わっています。

 我が国は南海トラフ巨大地震、富士山噴火、首都直下地震という国家を揺るがす危機を控えており、いずれも太平洋側を襲う激甚災害です。そのバックアップ地域として、日本海側の自治体が重要な拠点となることが期待されています。