心理学では、マズローの欲求段階説が示すように、生理的欲求や安全欲求が満たされると、人は自己実現や自己超越といった長期的・抽象的な価値を重視するようになります。これは、時間軸が自然と長くなることを意味します。

 経営学の分野でも、短期的な利益を追求する経営より、長期志向の経営を行う企業の方が、結果として持続的な成長と安定した業績を実現しやすいことが、多くの研究で指摘されています。

「一段上の階」から
物事を見てみる

富裕層の世界写真はイメージです Photo:PIXTA

 この考え方は、超富裕層だけのものではありません。一般的なビジネスパーソンであっても、「一段上の階」から物事を見る意識を持つことは可能です。

 今の判断が3年後、10年後の自分の信用や評価、キャリアにどのような影響を与えるのか。その視点を持つだけで、日々の行動は大きく変わります。何か会社に提案するにしても、今現在あるいは1年後の視点に加えて、それが、20年後、30年後の会社の将来にどのような貢献ができるのかということについて語ることができれば、会社にとっても、経営陣からも、その提案は大きな評価を得ることができるはずです。

 本物の富裕層が乗っているのは、単なるお金を増やすためのエレベーターではありません。人生全体を俯瞰するための、資産と時間のエレベーターです。その最上階に立てるかどうかは、日々の小さな選択の積み重ねによって決まってくるのです。