「一番ショックだったのは……私が子宮筋腫で手術して退院する日、夫は外出していて私一人で帰って夫に『ものすごくだるい』ってメールしたんですけど、そうしたら『じゃあ、ご飯食べて帰る』って返事が来て。私の体調より自分の食事なのかってすごいショックで……」
「それは悲しいですね」
私が思わず言うと、綾美さんが頷きました。
「夫は普段は優しいですし、気遣いも出来る人なので、どうしてなんだろうって」
私が隆之さんにその時の気持ちを尋ねると、
「それは……具合が悪いのに料理させるのは悪いから、だったら食べて帰った方がいいかなと思って」
と答えました。どうやら、隆之さんには問題意識も罪悪感もないようです。私は隆之さんに、カウンセリングに来るのは嫌ではなかったのかを尋ねました。
「妻が一緒に来て欲しいと言うので。妻が望むなら、断る理由もないなと思って」
確かに、夫婦仲は悪くないようです。そして隆之さんは素直な方であるとも感じました。だとしたら、綾美さんの体調に配慮出来ないのはどうしてなのでしょう。
習い事と家事に
忙殺された中学時代
綾美さんは両親と姉の4人家族。両親は共働きで、母親はダブルワークをしており、かなり多忙だったとの事。なので、小学生の頃から家事を手伝うのは当たり前で、中学生からは夕食を作るのは綾美さんの仕事だったそうです。負担は大きかったと言います。
「習い事もたくさんやらされていましたし、成績にも厳しかったので、やる事がたくさんあって。でも家事をやらないとすごく怒られたので……」
母親には叱られる事が多く、叩かれた事も少なくないそうです。
「お母さんはお姉さんに対しては?」
私が尋ねると綾美さんは首を横に振りました。
「姉はすごく優秀だったんです。だからあまり手伝いもさせられていなかったし、習い事もほとんどしていませんでした。勉強さえしていればいい、というか。母は私が何も出来ないダメな子だから、自分が厳しくしなくてはいけない、と思っていて」
特に成績については常に姉と比較されて、怒られてばかりだったそうです。







