「自分なりに頑張っても、姉には絶対にかなわないので」
綾美さんは少し悲しそうに笑いました。ずっと母親の事が怖かったし、母親は自分の事は嫌いなんだと思って育ったと言います。そして恐怖心は今でも残っている、と。
「母から連絡が来るだけで、何だろうって怖くなります。それに何か命令されたら絶対にやらなくちゃって思ってしまって……」
ただ、その恐怖心は隆之さんと結婚して少し和らいだ、と言います。
「母の事、ちゃんと話してあるので、連絡が来ると相談するんです。そうすると『俺が断るよ』って言ってくれたり」
夫が味方でいてくれる。それが救いになっていると言います。
心理テスト結果からは、幼少期の深刻な愛情欲求と心の傷、人から嫌われる不安が極端に強い事が認められました。ですので、自分を犠牲にして、尽くしてしまう傾向があります。隆之さんに対しては、愛情と信頼と依存が認められ、期待が大きい分、傷つけられた時のダメージも大きいと言えます。
心理テスト結果を綾美さんに伝えると、ため息をつきながら言いました。
「本当に。嫌われるのが怖くて、相手の言う事をなんでも聞いてしまって搾取されて終わった関係もあります。だから夫と結婚出来て、本当に安心出来たんです」
隆之さんを失いたくない思いは非常に強いようです。
妻への甘えと依存が
強いのはなぜか?
隆之さんは、両親と兄の4人家族。父は時に不合理な怒りをぶつけて来る事があり、子どもの頃から拒否感情を抱いていたとのこと。母親は愛情を注いでくれたとは思うけれど、やや過干渉な所があり、自分に関心が向いていたのは両親の夫婦仲が悪かったせいだと思っている、と言います。その為、母親とも心理的距離を置いており、綾美さんと出会うまでは、孤独感も強かったけれど、一生結婚はしないだろうと思っていたそうです。
心理テストでは、両親とは心理的に距離を置いている事と、綾美さんへの甘えと依存が強い結果が出ました。また、綾美さんの事を「なんでも出来る完璧な人」と感じている事も分かりました。対人関係は得意ではなく、孤立しがちでもあり、それが綾美さんへの依存心を強めていると言えます。







