シリコンバレーの人間はみな
救世主になることを夢見ている
「シリコンバレーの人間はみなそうだが、アルトマンは世界を救いたいと公言する。だが彼が他とちがうのは、それを実現するための計画を持っていることだ」
トランプが勝利すると、アルトマンは打ちのめされた。
彼はそれまでも、自分の知る唯一の方法でトランプ当選を阻止する取り組みを進めていた。「ヴォートプリーズ」という投票者登録用アプリに資金を提供し、作成に関わった。そしてトランプが当選した今、再びコード書きに戻って、トランプの就任100日間の成果を選挙公約と照らし合わせる、「トラック・トランプ」というウェブサイトをつくった。
また、トランプに投票した全米の100人にフェイスブックで連絡を取って、なぜ投票したのかを直接聞き取り、結果をブログで発表した。その中のある発言が、民主党員の多くが気づいていない問題の核心を突いていると、アルトマンは感じた。
「あなた方リベラル派は、次回はトランプに勝てると思っているかもしれない。だが私たちをあざけり、私たちの言い分に耳を貸さずに切り捨てている限りは無理だろう」
AIが文字情報から生成した画像が
人間の想像力を超えた瞬間
2021年初、オープンAIはGPT-3の技術を利用して、入力した文字情報から画像を生成するモデルを開発した。このモデルはディズニー映画『WALL-E(ウォーリー)』と画家のサルヴァトーレ・ダリに敬意を表して、「DALL-E(ダリ)」と名づけられた。
初めて公開されたDALL-Eの生成画像は、「チュチュを着て犬を散歩させる大根の赤ちゃん」という文章をイラスト化したものだ。
大根はずんぐりしていて単純で漫画チックで、これに比べればアニメの『サウスパーク』はドミニク・アングルの油彩画ほど精緻に見える。だがそれでもたしかにチュチュを着て犬を散歩させていた。
この前進によって、アルトマンは「社会の再構築」で自身の果たすべき役割を、さらに説得力をもって主張できるようになった。2021年3月に発表した、「あらゆるものにあてはまるムーアの法則」と題したブログ記事に、「オープンAIで仕事をしていると、社会の大変動が一般に考えられているよりも早く来そうなことをひしひしと感じる」と書いている。
「思考と学習の能力を持つソフトウエアが、今人間がやっている仕事をますます担うようになる。資本による労働の代替がさらに進むだろう」







