日本は一度こういう道を辿った。そしてまたおそらく今回も同じ道を辿る。だから、どうせ「経済的敗戦」を迎えるのなら、より少ない被害、未来に希望を残せる「負けっぷり」を選んだほうがまだマシという考え方である。そして、そこで絶対に大事なのが、なぜそういう判断になったのか、誰がどんな理屈でこの政策を支持したのかということをぼやかさずに、明確に記録をしておくことだ。
日本はこのような「責任」をはっきりさせることを嫌う。
わかりやすいのは東京2020や大阪関西万博である。もう忘れてしまっている人も多いだろうが、この構想が持ち上がった2015年あたりから、政治家やエコノミスト、評論家、マスコミはこんなことを盛んにふれまわっていた。
「五輪と万博が実現すれば、公共インフラの整備や日本の魅力を世界に発信することができて日本経済復活の起爆剤になるので、国策として全面バックアップすべきだ」
筆者は当時から本連載で繰り返し、そういう経済復活シナリオに対して「いやいや、たかがスポーツイベントや万博なんでそういう大袈裟な煽り方して、公金をジャブジャブ突っ込ませるのはやめるべき」と苦言を呈してきた。(ダイヤモンド・オンライン 2018年9月13日 「五輪不況」でボロボロのブラジル、日本も他人事ではない理由 https://diamond.jp/articles/-/179656)
五輪開催地では公共施設への過剰な投資で「五輪不況」になるのが常で、東京五輪の後も不況になっている。万博も同様で経済効果は一部に限定されて、借金が増えるだけだ。高度経済成長期に日本が五輪と万博を起爆剤に成長したというのも「幻想」で、実は人口増加してGDPが増えたタイミングとこの2つのイベントが重なっただけだ。
そういう記事を書くたび、先ほどのような人たちから「五輪や万博の経済効果はすごい!」「数字にはあらわれない力で日本経済を力強く成長させるのだ!」と怒られたものだが、結果は皆さんもご存じの通りだ。
この2つの巨大イベントの後、我々の暮らしはどうなったのかというと、国民の豊かさを示す「一人当たりGDP」は韓国と台湾にサクっと抜かれた。
しかし当時、「五輪、万博で日本経済復活!」と叫んでいた人たちはみな「あれ?ワタシそんなこと言いましたっけ?」という感じで何事もなかったようにすっとぼけている。







