この問題を解決するには、「疲労感度を高める」ことはもちろん、有給休暇に対する意識を根本的に変える必要があると、私は思います。

 日本人の多くは、「自分が休むと、同僚に迷惑がかかる」といった思いから、有給休暇の取得をためらう傾向があります。また、「緊急時のために取っておこう」と考え、有給休暇を温存する人も少なくないようです。

 こうした考え方は日本人の“美徳”ともいえますが、その結果十分な休息を取ることができず、仕事のパフォーマンスを下げてしまうようでは、本末転倒でしょう。

『疲れない心をつくる休息の作法』書影疲れない心をつくる休息の作法』(枡野俊明、三笠書房)

「下載清風(あさいのせいふう)」という禅語があります。

 荷物をいっぱいに載せて進んでいた船が、港ですべての荷物を降ろし、軽やかになって風を受けながら出港していく――そんな様子を表した言葉です。

 仕事に限らず、私たちはついつい、必要以上にいろいろなことを抱えこんでしまいがちです。そうした「重荷」を手放し、心身をリセットする時間を持つことができれば、心に清々しい風が吹いて、気持ちが軽やかになります

 さすれば、新たな活力がわき、仕事のパフォーマンスもぐっと高まることでしょう。この禅語を深く心に刻めば、休暇を取ることへの罪悪感も、自ずと消えていくはずです。