そのうえで「問題は演説全体を通じて、円安になると国内投資が戻ってくるという認識が貫かれているように見える点だ」と指摘しています。これをみずほ銀行のレポートで前時代的な発想だと断じているところが、「するどい!」と受け止められたのです。

 高市内閣は「責任ある積極財政」を主張しているのですが、実態として長期金利や為替を一時的にリスクにさらしてでも国内投資を増やそうという政策になっているという点に留意するべきです。その前提で何が深刻なのかというと、なぜ国内投資が増えていないのかについての認識が「古い」というのが唐鎌氏の指摘です。

 1980年代以降の円高で日本企業が海外投資に向かい産業が空洞化したのは事実ですが、2013年のアベノミクス以降の円安でもその流れは止まらず、むしろ円安の逆風の中で日本企業は海外投資をさらに加速しているという事実があります。

 ファクトとしては円安だからといって日本企業が国内投資に回帰するわけではない。むしろ企業は円安の逆風の中で海外への直接投資に力をいれています。この点についてはアベノミクスは明確に間違っていたと証明されているわけで、それを認識せずに積極財政を進めれば日本経済は悪化してしまいます。みずほ銀行に対しては「よく諫言してくれた」という気持ちです。

円安でも対外投資が増えていることを示す図データ出典:日本銀行(ドル円為替相場)、財務省(対外・対内直接投資) 作成=ダイヤモンド・オンライン

 2月8日投開票の選挙で仮に自民党が勝てば「責任ある積極財政」が続きます。加えて食品の消費税率が二年間ゼロになりますから一時的に日本の借金は増え、為替は円安に進み長期金利は上がるでしょう。日本経済がその痛みに耐えた後、よくなっていくためにはこの政策が行われる二年間で国内投資が増える必要があります。

 そこで重要なのは「なぜこれまで日本の国内投資が増えてこなかったのか?」という視点です。ここを深掘りすると、高市政権が掲げる政策の深刻さが見えてきます。ここからは独自の記事になります。