低料金の背後に
シェア重視の姿勢

 その答えは、同社が11年に発表した経営計画の中核に、19年までに宅配便市場でシェア50%を取ることを目標に掲げていたことがある。シェア最重視の考えの背景には、シェアが高まれば、各配送エリアの荷物の密度が濃くなり、配送効率が高まるという考えがある。

 ヤマト運輸の宅急便の00年の業界シェアが33%台で、そこからほぼ右肩上がりでシェアを増やしつづけ、17年には46%台と、目標の50%に王手がかかるところまで上り詰めてきた。シェアを上げる最も安直な手法は、安い運賃で荷物を取ってくることだ。佐川急便が、採算が合わなかったといって打ち切ったアマゾンの荷物を、ヤマト運輸が低料金のまま請け負った背後にはシェア重視の姿勢があった。

 しかし、そのひたすらシェア重視の姿勢も、先に挙げた17年春にサービス残業問題が発覚すると、吹き飛んだ。ヤマト運輸は同年9月、アマゾンと1個当たりの運賃を280円から最大で460円へと大幅に値上げすることで合意した。最大の値上げ幅は6割強。しかも、ヤマトはアマゾンに対し、3便と呼ばれる、夕方にアマゾンの物流センターからヤマトの宅急便センターに届いた荷物は、ドライバーへの負担軽減から当日には運ばないことを決めた。

 それに対しアマゾンは、個人事業者1万人を組織することで、ヤマトの値上げとサービス縮小に、対抗しようとした。日経新聞は、「アマゾン、独自の配送網 個人事業者1万人囲い込み」という見出しをつけ一面トップで伝えた。

※敬称略。年齢や肩書きは、取材当時のまま。

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