別の経営者は、「販売価格自体が高額で売るのが難しくなった。それでも業績対策で仕入れを続けないといけない。金融機関との取引を継続するため、無理して買うこともある」と地価高騰下での商売の苦しみを語ってくれた。

金融機関の融資姿勢に変化

 金融機関の担当者は、「少し前までは設立が浅い企業や中小・中堅企業の若手社員も、金融機関が積極的に融資したことで、強気に不動産を仕入れていた」という。レスポンスの良いマーケットだけに、倒産や返済猶予(リスケ)などの事故は比較的少なかった。

 しかし、2025年に入ると様相が変わってきた。2016年1月から続いたマイナス金利が2024年3月に終了し、金融機関の融資姿勢は次第にシビアになってきた。

 金融機関の審査担当者は、「リーマン・ショックを知る経営者や業者は、万が一の時のシナリオを用意しているが、怖さを知らない若い経営者は準備していない」と経営者の資質に警鐘を鳴らす。その上で、「経営体力や準備力などで貸出金利に差が出てきた。そのため、プロジェクトを全額融資はせずに1割、2割の自己資金を求めることも増えた」と風向きの変化を教えてくれた。

 建物の工事コストも大幅に上昇し、人手不足で工期も延びがちだ。そこに地価上昇も加わり、建物の販売価格は爆上がりだ。住宅ローンの融資担当者は、「リーマン・ショック時の住宅ローンが年収の10倍の融資が問題視され、これまでは6倍ほどに抑えられていた。だが、最近は年収の10倍や11倍も見かけるようになった。返済期間は40年とか50年もある」と危機感を抱いている。

 購入者が出せる金額の限界が近づいていると指摘する声も出始めた。実質賃金が伸びないユーザーが増えた隙を突くように、中国人など海外勢をエンドにした投資物件も伸びていたが、ここにきて先行きに不安材料が出始めた。そのため、物件や地域によっては潮目の変化を口にする関係者も増えている。

 低水準をたどってきた不動産業の倒産が、ここにきて急増する背景に何があるのか。不動産マーケットの足下の変化は、日本の中小企業に垂れ込む暗雲なのか注目される。