このような事件の動機の多くは、年金目当てか葬儀のためのお金がないなどです。また、死者の死そのものも慎重に捜査しなければなりません。介護疲れなどによる殺人事件も時折発生しています。
しかし、こうした事件性のあるものばかりでなく、とくに高齢世帯でありがちなのは、同居人が本当に気づいていないケースです。
遺体を認知症の妻に
引き渡す訳にもいかず……
さて、現場で署員と合流して話を聞くと、やはり同居人であり発見者である妻は話が二転三転し、時系列的な会話が全く噛み合わないようです。おそらく認知症なのです。
これも最近多いのですが、老老介護でどちらかが認知症になり、例えば、認知症になった妻の面倒をみていた夫のほうが先に亡くなってしまうと、認知症の妻が夫の死に気づかず発見が遅れるということがあります。
今回、妻の話をなんとか整理すると、昨晩夫が脱糞しており、パンツを穿き替えさせようとしたものの、夫の体が硬くなっていてうまくいかず、本日午前6時頃、夫が起床してこないため寝室に様子を見に行くと、ベッド上で仰向けに倒れ冷たくなっていたので119番通報したとの申し立てです。
しかし、遺体の様子はと言えば、夏季で死後変化が早いとはいえ早期死体現象である硬直は緩解しており、晩期死体現象である腐敗が始まっています。腹部に青藍色が出ており、腐敗網も出始めています。少なくとも死後2日は経っていそうです。
この暑さのなかエアコンを使っておらず、死者には病歴も複数ありそうです。環境捜査の結果、事件性を疑う状況はないと判明しましたが、あとはなぜ通報が遅れたのかということです。
妻の病歴などを確認すると、少し前の診察で、認知症との診断は出ていないものの認知機能の低下が認められたようです。
別居の親族や付近の住民などからも聴取したところ、妻の様子が最近急激におかしくなり会話が成立しなくなる症状があったなどの証言が得られ、積極的な遺棄行為は認められず、通報が遅れた経緯も故意のものではないと判断されました。







