警察庁によれば、2024年の行方不明者は8万2563人(前年比7581人減)、そのうち認知症またはその疑いによるもの(以下、認知症)は1万8121人(21.9%)、なんと2万人近くにのぼります(警察庁「令和6年における行方不明者届受理等の状況」2025年)。
このような問題が世間で認知されることになったのは、2014年4月のNHKニュース「認知症で行方不明 1年で1万人近くに」などの報道や、JR東海の鉄道事故の名古屋高裁判決がきっかけでした。
この裁判は、認知症の高齢者が徘徊によりJR東海管轄の駅構内の線路に立ち入り、列車と衝突して死亡した事案に関するものです。
JR東海より列車の遅延に伴う振り替え輸送費などを理由に家族に対して損害賠償請求がなされ、一審、二審とも被告側に賠償責任を認める判決が言い渡されましたが、JR東海側及び家族側双方が上告しました。
2016年3月、最高裁第三小法廷(岡部喜代子裁判長)では家族に賠償を命じた二審判決を破棄し、家族の責任を認めないという判決を言い渡しました。
民法では、重い認知症患者のように責任能力がない人が与えた損害は監督義務者が賠償責任を負いますが、本件については同居の妻も別居の息子も「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」には当たらないと判断されました。
また、同判決では監督義務者に準ずべき者に当たるかどうかは、生活状況や介護の実態などから総合的に判断するべきであるとの初判断が示されましたが、本件についてはこれにも当たらないため賠償責任はないものと認められたのです。
認知症高齢者が行方不明になる
最も多いケースは……
認知症高齢者の徘徊の実態を調査分析した報告書によれば、認知症高齢者が行方不明になった場所(最終目撃場所)で最も多いのが自宅で51.6%、移動手段で最も多いのが徒歩で75.6%です。自宅から歩いて行方不明になるケースが多いのです。
発見された状況として、最も多い発見者は「その他」の41.5%(おそらく一般市民)、次いで警察が27.4%、家族・親族が6.1%です。







