サイバーエージェントの次期社長候補者たちを
繋いだ「共通の基準」

「人間レベルのコミュニケーション」を通したルーズ&ルーズの関係に加えて、「誰が社長になっても皆で支えていこう」という関係に昇華させていくには何が必要なのでしょうか?

 サイバーエージェントの社長研修において弊社が提供したプログラムでは、藤田氏のこれまでの意思決定を追体験していただきました。その際、「自分が社長だったらどう判断するか」という経営者の立場に立って考えていただいたところ、参加者の皆様から以下のような発言があったのです。

「これまで他の事業について詳しくわかっていなかったが、どの事業も同じ成長サイクルだ」

「最大効果・最高品質、これを共通軸としてやっていければもっと成長させられる」

「藤田さんが、あの言葉を使うのはこういうことだったのか」

 つまり、「これまで藤田氏(をはじめとした現経営陣)が大事にしてきた“最大効果・最高品質”という競争の本質こそが、今後の発展‐成長のカギでもある。次世代メンバー全員がこれを共通の基準にすれば、サイバーエージェントはもっと成長できる」ということを再実感されたのです。

 言い換えれば、次世代の経営幹部にとって、自社の発展・成長の核心であり、競争優位性の源泉である組織風土や自社らしさを形作ってきたものが、自分たちをつなぐ共通の基準になったということです。この共通の基準で結ばれているからこそ、「誰が社長になっても支えあおう」と感じられるようになったのです。

 中堅中小企業の中には、「うちは普通の会社だから、そこまでのものはないよ」と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、お客様がいるということは、お客様から選ばれる理由がある、つまり競争優位性があるということです。そして、競争優位性があるということは、それを生み出すための経営者の決断と現場での創意工夫があるということです。

 もちろん、それは49と51ほどのわずかな違いかもしれません。しかし、そのわずかな違いにこそ自社らしさが宿っています。それを見失ってしまえば、環境変化の荒波の中で、すぐに船は転覆することでしょう。次の経営チームに求められるのは、環境変化の逆風の中でも、そのわずかな違い‐自社らしさ‐に光を当て、それを引き出し、増幅するために、負担を引き受けあうチームであるということです。

(リクルートマネジメントソリューションズ コミュニケーションエンジニアリング部 エグゼクティブコミュニケーションエンジニア 河島 慎)