今回の制度改正では、新たに患者が支払う自己負担額の年間上限が設けられる予定だが、(1)の所得人の上限額は168万円だ。いくら所得が高くても、日々の生活費から捻出するのは厳しい金額ではないだろうか。
そのため、今後はこれまで以上に高齢期の医療費の備えが必要になりそうだ。例えば、銀行や証券会社に医療費用の専用口座をつくって、退職金の一部を移しておいたり、若いうちから少しずつ積み立てておいたりして、手持ち資産を増やしていく必要がありそうだ。
外来特例の限度額引き上げで
じわじわと家計が圧迫される
もうひとつ、70歳以上の人の高額療養費で気をつけたいのが、「外来特例」の自己負担限度額の引き上げだ。
外来特例は、通常の高額療養費とは別に、通院のみの医療費の自己負担額に上限を設けたものだ。高額療養費が入院費用を含めて世帯単位で自己負担限度額が設定されているのに対して、外来特例は通院の医療費を個人ごとに計算する。
2002年10月に、70歳以上の人の医療費の自己負担が、それまでの定額制から定率1割に完全移行した際に設けられたもので、当初は制度改正の経過措置という位置づけだった。だが、その後の政治の迷走や経済環境の悪化によって、外来特例は廃止に至らず、現在も継続している。
ただし、一連の高額療養費の制度改正によって段階的に給付は縮小されてきた。当初は、70歳以上の全ての所得層に外来特例が設けられていたが、18年8月現役並み所得者(旧・上位所得者)の外来特例は廃止されて、高額療養費に一本化された。所得区分が「一般」と「低所得」の人には外来特例が残されたが、自己負担限度額は引き上げられた。
現在も、この2つの所得区分には外来特例が残されているが、今回の改正ではさらに自己負担限度額が引き上げられる予定だ。次の表にまとめた。
例えば、現在は、所得区分が一般の人の外来特例の自己負担限度額は月額1万8000円で、年間上限が14万4000円だ。これが26年8月に月額2万2000円、年間上限21万6000円に引き上げられる。
さらに、27年8月に所得区分の細分化に合わせて、外来特例の自己負担限度額も見直される。年収約200万円未満の人は据え置かれるが、年収約200万円以上の2つの所得区分の人は、月額2万8000円に引き上げられる。








