アドラー心理学のカウンセリングでは、カウンセラー同士が来談者の問題について、来談者の前で話し合う。この時、来談者は自分のことが話されているにもかかわらず、自分に関する話ではなく、人の話を聞いているかのように一生懸命聞くのである。
同じように、親が子どもに何かをいおうとする時に直接いうと身構えてしまうことでも、父親と母親が子どもの前で話をすると、子どもが話をうまく受け入れることがある。
『自省のすすめ ひとりで考えるレッスン』(岸見一郎、筑摩書房)
子どもの場合も、来談者の場合も、自分を客観視できるからである。
本を読む時も、そこに書かれたことを自分とは関係のないことと見なすことはなかなか難しい。それは、読書は著者との対話だからである。それでも、自分について語られた言葉を聞くような仕方で読むというよりも、少し距離を置いて読むことができれば、その内容にただ反発するのではなく1つの意見として受け止めることができるだろう。
他方、自分の経験や価値観をあまりに本に投影してしまうと、著者の意図を正しく理解することを妨げることになる。読書を真の対話にするためには、著者の考えを理解しつつ、それと向き合い、自分の考えを深めていかなければならない。
このような対話を通じて、自分自身の考えを明確にし、それを修正することもできる。
著者の考えに同意できない部分があれば、なぜ同意できないかを考え、その理由を明確にしなければならない。
読書を通じた対話は、考えを深め、視野を広げる機会となる。それは知識や情報の受け取りではなく、著者との真摯な対話を通じて、自分自身の考えを育てていく営みでなければならない。







