このように人の気持ちをくすぐるのがうまい人物は、それによって自分が好意的に見られ、人事評価や配属、仕事の割り振りなど、何かのときに得することを計算している。なかにはそうしたあからさまな計算は意識していない人物もいるが、そのように振る舞うことで自分が好意的に見られることを心のどこかで感じている。

 ゆえに、周囲の感じの良い人物、とくに過剰にほめてくる人物の中に裏表人間がいる可能性があるので、そこはしっかり見極める必要がある。うっかりするともち上げられて気分が良くなってしまうものだが、そこは要注意である。

日頃仲良くしている人を陰で悪く言う

 自分に対する態度だけみていては、裏表人間を見抜くことはできない。表の顔しかわからないからだ。本人の前で裏の顔を見せることは、まずないはずだ。では、どんなときに裏の顔を知ることができるのか。

 その人が日頃仲良くしている相手のことをどう言うかがわかれば、裏表の激しい人物かどうかを判断することができる。

 たとえば、同僚のことを裏でひどくこき下ろしているのに、本人の前ではいつも友好的に振る舞っているのを見て驚いた、という人もいる。

「同期の集まりの場で、その人が最近自分の部署に配置転換でやってきた3歳年下の子のことを、『ほんとに使えないんだ。いくら教えても間違えてばかり。呑み込みも悪いし、すぐに忘れる。ほんと、バカっぽい。これまでどうやって仕事してきたんだろう、周りの人はなんで我慢できたんだろう、って思っちゃう』っていう感じにこき下ろしてたんです。ところが、数日後に、たまたま彼女の部署に行く用事があって、そのとき彼女がその3歳年下の子に優しい口調で、いかにも仲良さげに話してたんです。そんな様子を見て、『腹立ちや不満をおくびにも出さずに親しくつき合えるなんて、凄いなあ、この人、どんな神経してるんだ』って感心してしまいました」

 だが、感心している場合ではない。非常に危険な香りがする。

 3歳年下の人は、その先輩のことを友好的な相手と思い込んでいるだろうし、まさか陰で自分のことを「呑み込みも悪いし、すぐに忘れる。ほんと、バカっぽい」というようにこき下ろしているなどとは思いもしないだろう。

 このように自分の前ではボロを出さなくても、他の人に対して陰でどんなふうに言うかを観察することで、裏の顔の見当をつけることができる。日頃仲良くしている人のことを陰で悪く言うような様子が見られれば、かなり危険な裏表人間と思っていいだろう。

人を利用価値で評価する

 人の性格を見抜くには、その人が他の人たちをどのように評価するかを観察するといい。人に対する評価の言葉に、その人が無意識のうちに用いている評価軸が示されている。

 危険な裏表人間に多い特徴として、人を利用価値で評価するということがある。ゆえに、人を評価する言葉に利用価値を連想させるものがあるなら、その人物は要注意ということになる。