頭の中の「点」をそのまま口に出す恐怖

 なぜ、話が相手に届かないのでしょうか? そのメカニズムを解明するために、典型的な「惜しい失敗」の例を見てみましょう。

 ある企画会議で、新しいプロモーション案について説明する場面を想像してみてください。説明し慣れていない人は、頭に浮かんだ順に、情報を口に出してしまいます。

「まず、最近の若者はタイムパフォーマンス、いわゆる『タイパ』を重視しています。ショート動画の利用時間も増えていますし、我々のターゲット層は10代から20代ですよね。あと、競合のA社も最近、インフルエンサーを起用したキャンペーンを始めました」

 いかがでしょうか。

「タイパ」「ショート動画」「ターゲット層」「競合の動き」。

 話に出てくる要素は、どれも企画を考える上で重要なものばかりです。しかし、これを聞かされた相手の頭の中はどうなっているでしょうか。

 それぞれのキーワードが、脈絡なくバラバラの「点」として漂っている状態です。

「タイパの話と、競合の話に何の関係があるんだ?」

「だから、うちはどうすればいいんだ?」

 聞き手は、必死に脳内で点と点をつなぎ合わせる作業を強いられています。

 これは、話し手が自分の頭の中にある「情報の地図」を見せず、いきなり個別の「木」の話をしているようなものです。どれだけ一つひとつの木(情報)が立派でも、それらがどうつながって森(結論)を形成しているのかが見えなければ、相手は森の中で迷子になるしかありません。

「思いついた順に話す」。

 この無意識の癖こそが、説明を「ブツ切りの羅列」にし、相手を疲れさせている最大の原因なのです。

バラバラの話を「一本の線」にする魔法の接着剤

 では、説明がうまい人、つまり「理路整然と話せる人」は、どうしているのでしょうか。

 彼らは、バラバラの情報の間に、「つなぎ言葉」という名の「接着剤」を使って橋を架けるのです。

 先ほどの例を、説明がうまい人が話すとこうなります。