「損をしたくない」心理が
さらなる支出を正当化する
そしてもう一つ、支出を加速させる心理的要因を挙げておきたいと思います。
それは、人間には同じ金額であれば「得をすること」よりも「損をすること」を重く受け止める性質があり、その損失を回避したい欲求が強く働く、というものです(プロスペクト理論)。
出典:GLOBIS 学び放題「サクッとわかる!行動経済学~プロスペクト理論~」より拡大画像表示
高いチケット代を払った後では、何もせず列に並んでいるだけの「待ち時間」は大きな損失として感じられ、それを避けるための行動を無意識のうちに取ってしまうのです。
例えば、「美女と野獣」のアトラクションが2時間待ちだとします。仮に園内に10時間滞在するとした場合、この列に並ぶことは単純計算でチケット代の2割もの価値を毀損させることになってしまいます。それよりは、追加費用を払ってでもその時間を別の体験に充てる方が体験の総量を最大化し、損失を最小化できるという直感が働きます。
こうなると、追加の2000円はもはや贅沢なオプションではなく、「1万円のチケット価値を回収し、損失を最小化するための合理的な支出」となります。そして皮肉なことに、チケット代が高くなればなるほど、その支出の意義もまた大きくなるのです。
ディズニーが選んだ
「魔法の戦略」の正体
こうした構造を背景に、ディズニーは「誰もに愛される夢の国」から「一部の人が熱狂する高付加価値パーク」へと変貌しました。この劇的な変化の背景には、オリエンタルランドの大胆な決断があります。







