著者のヘンリー・ローディガーとマーク・マクダニエルは認知心理学者であり、ピーター・ブラウンはノンフィクション作家である。このチームが学びを支援する最高の戦略と戦術をわかりやすく説明する。

 最初に紹介される戦術は、記憶想起の力を利用することだ。「大切なことは、忘れるプロセスを止めること」なのだ。人は聞いたそばから忘れはじめるから、会話の最後に振り返りの質問をするだけでも、忘却を食い止める第一歩となる。のちのち「そんなこと聞いてません!」と言われずにすむだろう。

 いっそうの効果を上げるには、会話の最後以外にもこの質問をする機会をつくることだ。「思い出すことは練習の1つ」と著者は言う。そして、設けた質問の機会は、ダニエル・コイルの言う「深い練習」の場にもなる。

 選択肢の1つはチーム・ミーティングや1対1の定期ミーティングの冒頭にこの質問をすることだ。「前回のミーティングから今日までに、何を学びましたか?」と。私はルーティンとして、(ほとんど)毎日、一日の終わりにiDoneThisというアプリを使い、その日やったことに加えて、何を学んだか、何を最も誇りに思うかを1、2行書き記すことにしている。

学びを効果的にする
最強の質問とは?

 学びを記憶に留めるために、生成や想起のプロセスを起動する質問はいくつもある。「何を学びましたか?」「何が重要な気づきでしたか?」「覚えておきたいことは何ですか?」「何が記憶すべき重要なことですか?」などはどれも、学びを支援するよい質問である。

 しかし、「あなたにとって何が最も役に立ちましたか?」は、たとえて言えば、ケールのようなスーパーフードであり、それに比べればほかの質問はただのレタス程度のものだ。「あなたにとって何が最も役に立ちましたか?」には少なくとも6つの優位性がある。

〇会話が役に立つことが前提である

 人は、「ときどき真実につまずくが、そのほとんどは何も学ばず、何事もなかったかのように立ち上がり、足早に立ち去ってしまう」。これは、ウィンストン・チャーチルの言葉である。あなたとチームメンバーとの会話にも同じことが言えるだろう。