車体の汚れ除去は、夏場は洗剤塗布から数分ですすぎ洗いを行わないと洗剤が焼き付くため、数メートル塗ってはすすぎ洗いを繰り返していました。そこで15年ほど前に、塗布からすすぎまでの時間に制約が無い洗剤をメーカーと共同開発しました。

 塗布するだけなら機械化できないかと、10年前に現場で装置を試作したことに始まり、近年は熱中症対策の観点からも必要性が高まったことで正式導入しました。従来は手作業で1両あたり30~40分かかっていたところ、操作者1名が5分程度で済むようになり、熱中症予防のため作業を回避していた時期も清掃が可能になりました。

人手不足の懸念が
新たな挑戦を後押し

――コーティングとはどう使い分けているのですか。

溝邉 (車両洗浄装置のブラシが届かない)車両前頭部と妻部(連結面)は手作業で洗浄しています。ここをコーティングすることで、汚れの蓄積を抑制したり、除去を容易にしたりできるので、清掃周期が延伸され作業者の負担軽減が図れます。単純に見えますが、手作業で汚れを落としてきたノウハウがあってのものです。

――問題意識が具体的な取り組みへとつながりだしたのはいつ頃ですか。

溝邉 人手不足が具体化したのは10年ぐらい前ですね。技術企画部は元々、品質管理部門だったのですが、今後の人手不足に備えた新しい清掃方法を開発するんだということで、2016年に現在の組織になりました。

 会社風土としては、民営化してからも国鉄体質的ではあったのですが、20年くらい前から現場で頑張っている人の「思い付き」を後押し、取り入れてどんどん広げようと風向きが変わりました。そういう意味で、新しいことにチャレンジする風土は前からありました。

――アイデアはどのように形になっていくのですか。

溝邉 現場が何に困っているかは定期的にヒアリングしています。 グループ内で出てきた課題についても、清掃の技術でどのように解決できるか常に考えますし、清掃に直接関係ない市中の技術とかも広く見ていて、何か使えないかと考えています。やっぱり現場起点ですね。本社が「これ困ってるやろ」と現場に押しつけても大体、失敗するんですよ。