カズの勇姿に心を震わせた一人が当時の副知事で、震災対応に奔走していた内堀知事だった。

「私自身も当時は震災後の本当に厳しい状況の中にいたんですが、三浦選手のプレーを見て心が躍ったといいますか、元気をいただきました。あの思い出をいまでも覚えています。今日この場をお借りいたしまして、あらためて感謝を申し上げます。本当にありがとうございます」

 派手さもあってダンスを逡巡していた当時のカズは、一転して解禁した理由をこう語っていた。

「気分が暗くなってはいけないと思って。ゴールもそうですけど、ゴール後のダンスで、微力ながら日本中を明るくできたらいいなと。テレビのニュースなどで『おれたちは頑張ってやっているから、暗くならないでくれ』という被災者の方々からのメッセージを見て、逆に自分のほうが勇気をもらっていました。そういう意味で自分たちが元気でやっていかないといけない、という気持ちも込めよう、と」

「あきらめたことは一度もない」
現役最年長Jリーガーとしての思い

 ゴールへ抱く思いは、プロになって41年目となる今シーズンもまったく変わらない。特別大会のJ2・J3百年構想リーグに臨んでいるカズは、福島の一員として決めるゴールにこう言及した。

「ひとつの勝利もそうですけど、サッカーにおいてはひとつのゴールというのも大きな影響力があると思うんですよ。自分もこれまでいろいろな場面でゴールしてきましたけど、新しい夢のあるゴールをまた決められたらいいなと思いますし、そのために努力していきたいと思っています」

 44歳で出場したチャリティーマッチも、59歳になった今シーズンもカズは現役最年長Jリーガーとして歴史に名を刻んでいる。もちろん応援する声だけではない。どうせまともに走れない。名誉選出。若手のチャンスを摘み取っている。15年前からネガティブな意見を見聞きした当時のカズはこう語っていた。

「あまり年齢うんぬんは言いたくないけど、どこに行っても『44歳だ』と言われる。でも僕はサッカーであきらめたことは一度もない。これからも現役を続けていきたい、という気持ちをもってグラウンドに立ち続けているし、だからこそ苦しんでいる人たちにはあきらめてほしくないと思っています」