「そのバッグ素敵ですね」「2万円でいいわ」話の流れ的に断れず、購入
「Bさん、そのショルダーバッグ素敵ですね」
「えっ、これのこと?さすがAさん、センスいい!」
Bは、隣の席に置いていたショルダーバッグを持ち上げ、Aに見せた。黒のレザーで、シンプルだが上品なデザイン。Aはさっきから興味深く眺めていたのだ。
「今まで使っていたバッグのファスナーが壊れたので、ちょうど新しいのを探していたんです。それ、どこのブランドですか?」
「これは私の友達が扱っている商品で、普通の店では売っていないの。デザインがいいだけじゃなくて、意外と軽くて収納力も抜群!本当にいいバッグで、とってもオススメよ。Aさんなら絶対似合うと思う。よかったら買わない?」
そしてBは友達が扱っているというバッグの専用サイトをスマートフォンで開き、自分が持っているのと同じショルダーバッグの画像をAに見せた。
「これ3万円ですか?結構、高いんですね……」
画像を見ながらため息をつくAに、Bはさらに畳みかけた。
「私ね、他の人からも頼まれていて、その人たちの分もまとめて注文するから安くできるの。このバッグ、今なら2万円でOKよ。こんなチャンスないって!」
Bの強い押しに負けたAは、結局2万円でショルダーバッグを買うことにした。
届いたバッグは、2万円とは思えない粗雑な出来だった
翌週。AはBから渡されたバッグを手に取って、釈然としない気持ちになった。確かにデザインは悪くないが、素材が合成皮革でペラペラだし、よく見ると縫製がかなり雑。値段からすると文句を言いたいレベルだが、会社の先輩であるBと、揉めごとは起こしたくない。
「仕方ない。この間、直接手に取って確認せずに、買うと言ってしまった自分が悪い……」
Aは自分にそう言い聞かせるしかなかった。







