Bからバッグを買わされていたのは、Aだけではなかった
2月中旬。Aがコピーを取っていると、後ろに並んでいたCが小声で話しかけてきた。
「ねえAさん、Bさんに何か買わされた?」
「えっ、どうしてそれを?」
「彼女がね、『Aさんが自分と同じバッグを愛用している』と周りに言いふらしているのを聞いたの。実はね、ここ半年の間に、何人もの女性社員がBさんからバッグ類を買わされたのよ」
「そうなんですか……。皆さんも断れなかったんですね」
「Bさんは女性社員の中ではベテランだから、彼女に逆らえる人はいないわ。万が一断ったら、徹底的に無視されるのよ。私もBさんから5万円の高級ポーチを勧められて、断ったらそれ以来ずっと無視されてる。中には会員になるように勧められた人もいるわね。そうすれば安く仕入れができるし、自分が他の人を勧誘すればさらに儲かるらしい。まるでマルチ商法みたいよね」
「マルチ商法ですって!」
Aの胸がざわついた。Aは2万円のショルダーバッグを購入後、断れないのをいいことに、Bからさらに別のバッグや雨傘を売りつけられた上に、「あなたの友達を紹介して」としつこく頼まれていたのだ。直属の上司である課長に相談することを考えたが、課長はBの同僚でしかも仲が良い。告げ口されるのが嫌だったのであきらめていた。
「マルチ商法の仲間になるなんて無理」総務部長に直訴
「マルチ商法の仲間になるなんて無理」と感じたAは、コピーを取り終わるとそのまま総務部に駆け込み、D部長に、自分がBから複数の物品を売りつけられていることや、他の女性社員たちも同じような目に遭っていることを話した。
「D部長、助けてください。このままだと私、いろんなものを買わされた上に友達まで紹介しなきゃいけなくなります」
と、Aは涙ながらに訴えた。
Aの苦情を聞いたD部長は、Aが退席したあとすぐにBを呼び状況確認をしようとしたが、その後の対処方法がわからなかったので、まずはE社労士に相談することにした。







