「本来は100%負担して貰うべきところ、ヤムナシ。但、今後は安易な指示を出さぬようすべく、よい警告になったと思う」

 健康診断で「精密検査を受けてください」と言われた患者が、検査の結果異常なしだったことに腹を立て、「余計な検査を勧めたんだから検査費用はそっちが払え。今後は安易に精密検査を勧めるな」と医師を責めているようなものです。

 確かに結果的には異常なしだったかもしれませんが、こんな対応をされたら、医師は次から必要な精密検査すら勧められなくなってしまいます。

 監査法人が疑わしい取引を発見した際にフォレンジック調査を要請するのは、まさに外部監査人としての本来の職責です。その職責の行使にペナルティーを科すことは、監査の品質を根本から毀損しかねない極めて危険な行為といえます。

 実際、報告書によれば、ニデックの社内関係者がPwC京都監査法人を「説得しやすい」「扱いやすい」存在と見なしていたことを窺わせる証拠も発見されています。要するに、ナメられていたのです。

 こうした力関係が、監査の実効性にどれほどの影響を与えていたのか、考えずにはいられません。

 なお、この第三者委員会の報告書はまだ中間段階であり、監査調書の閲覧や担当パートナーへのヒアリングは実施に至っていません。そのため、報告書は「会計監査人に関する評価は行っていない」と明記しています。最終報告書において、監査法人側の責任がどのように評価されるかが注目されます。

永守氏ら経営陣「狡いと思う」
グループ会社幹部が吐露したワケ

 永守氏は、2025年12月19日に代表取締役グローバルグループ代表を辞任して名誉会長となり、26年2月26日には名誉会長からも辞任し、完全にニデックを去りました。第三者委員会のヒアリングにおいて、永守氏は繰り返し「院政を敷くつもりはない」と述べたといいます。

 しかし、これだけの損失をもたらし、多くの経理担当者や幹部社員に苦しみを与えた経営者の去り際としては、あまりに静かだったと感じるのは筆者だけでしょうか。