この大谷選手の神対応によって、両チームの選手たちも冷静になり、騒ぎがおさまったのです。こんなメジャーリーガーを私は見たことがありません。この試合を実況していたアナウンサーが「大谷は別次元の人間だ。普通の人間なら真逆の態度をとってしまうだろう。こんなふるまいは見たことがない!」と叫んでいましたが、私自身も驚きを隠せませんでした。

 これこそが、周りの人に良い影響を与える品格ある行いです。このような大人の対応を見れば、ドジャースの選手もパドレスの選手も「感情的になってしまった自分はなんて器の小さな人間なのだろう」と我に返ったはずです。

 大谷選手は野球の技術もさることながら、人間性や品格においても別格で、私が知る野球選手の中でも、あらゆる側面で最も偉大な選手だと思います。

 YouTubeなどの動画サイトでは、「人格者としての大谷選手のふるまい」が大きな話題になっています。いまやアメリカのファンの中には、野球の試合を見るというよりもむしろ、人格者の大谷翔平の一挙一動を見に、球場に足を運んでいる人たちもたくさんいます。その存在はスポーツ選手の枠を超えています。

大谷選手のリーダーシップに
垣間見える日本文化の影響

ハーバードの教材になった大谷翔平、教授が感銘を受けた「決定的な出来事」とは?佐藤智恵氏

佐藤 大谷選手のリーダーシップから、日本文化の影響を感じることはありますか。

フライ 大谷選手は、試合中、きちんと審判の目を見て、会釈をしますよね。とてもさりげなくて、まるで挨拶するのが日々の行動の一部になっている感じがします。これは日本で育ったからできることではないでしょうか。

 私にとって、品格ある行動とは、周りの人々への敬意が感じられるような自然なふるまいのことを意味します。「運を高めるために、がんばってあいさつしています」という感じではなく、気品が内面から滲み出るような行動です。

 こうした大谷選手の一挙一動に感銘を受けながら、私は時折「もし大谷選手が日本で育たなかったら、どんな野球選手になっていただろうか」と考えることがあります。これほど尊敬されるプレーヤーにはならなかったのではないか、と。