石油がなくなるという話は昔からありますよね。僕が子どもの頃も「あと40年でなくなる」と言われていましたし、今も同じようなことが言われています。
しかし、実際には埋蔵量としてはまだある。ただ、確実に掘るためのコストは上がっているし、質のいい油は減っている。つまり「簡単には採れない」方向に向かっているのは間違いないと思っています。
本質的な問題は別にあります。石油や石炭は、もともとバイオマスなんです。つまり光合成によって固定された炭素が、何億年もかけて地中に蓄積されたものです。地球が浴びた太陽エネルギーを、長い時間をかけてため込んだ“貯金”みたいなものですね。
それを人類は、ここ150年ほどで一気に掘り起こして燃やしている。何十億年分の太陽エネルギーの蓄積を、たった百数十年で消費しているわけです。だからこそ、これだけの人口増加と産業拡大が可能になった。
社会がここまで拡大できたのは、その巨大なエネルギーの“前借り”があったからです。でも、これは当然続かない。
――確かに、「いつ」というのは不確定ですが、化石資源が枯渇することは確実と言われています。
藤田 では、石油が枯渇したらどうなるのか。単に燃料がなくなるという話ではありません。石油はエネルギーであると同時に、化学産業の原料です。プラスチック、合成繊維、塗料、医薬品の中間体、ありとあらゆるものが石油由来です。
つまり地下資源が枯渇するということは、現代の産業構造そのものを組み替えなければならないということです。
そこで考えなければいけないのが、「そもそもバイオマスはどこから来るのか」という問いです。それは光合成です。
なぜ「藻」なのか――産業構造を変えるには
「過去の貯金」ではなく「現在の藻」を使うしかない
地球はもともと二酸化炭素が非常に多い環境でした。そこに現れたのが、光合成を行う微生物、つまり藻類です。彼らが何十億年もかけて二酸化炭素を吸収し、酸素を放出し続けた。その結果、大気中の酸素濃度が上がり、酸素を吸って生きる生物が出現し、やがて陸上に生命が進出した。
藻が地球の大気組成を変え、生命の進化の方向を変えたと言ってもいい。







