会社関係者を被害者とする犯罪や、会社内で行われた犯罪においては、事件関係者が会社内にいることになりますので、上記のような接触禁止の条件が設けられている場合において会社での勤務を認めると、保釈条件に反する可能性があります。

 保釈条件は、被告人に課せられた条件ですので(違反すると保釈が取り消される場合があります)、会社が保釈条件違反に加担したからといって、会社に何か刑罰や制裁があるものではありませんが、そのような事態はコンプライアンス上、望ましくないでしょう。

刑事裁判を抱えた社員がいることで
職場や取引先が混乱しかねない

 保釈中の社員について、出勤を認めるべきか否かは、事案ごとの判断になりますが、復帰のために職場環境の調整が整っているか、懲戒処分が完了しているか等の要素が重要です。

 社員(被告人)が公訴事実について争っており、事実認定に不確定要素がある場合においては、当該社員に対する懲戒処分の内容を決めることが難しく、職場環境の調整も困難でしょうから、安易に職場復帰を認めるべきではないでしょう。

 そのような不安定な状態で職場復帰を認めることは、取引先等に対する信用失墜や、周囲の社員にも不安を与え、職場秩序の乱れ、職場環境の悪化にもつながります。また、自白事件であっても、犯罪の内容からして相応に重い懲戒処分が想定される事件についても、懲戒処分が完了するまでは職場復帰を認めるべきではないでしょう。これらの場合には、自宅待機を命じることが相当です(保釈中の自宅待機命令については次Q&A参照)。

 一方、当該犯罪が軽微であり、懲戒処分としても訓戒・減給程度の軽い処分が想定されるような場合には、懲戒処分未了の段階で、出勤を認めるという選択肢もあり得るでしょう。ただし、実務では軽微な事案は略式命令で終わることが多いので、正式裁判として起訴されているという時点で、ある程度重い犯罪であることが想定されることには注意が必要です。