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世界では現在も多くの人々が飢餓や栄養不良に苦しんでいる。一方で、その原因は単純な「食料不足」ではないという指摘がある。実際、富裕国でも十分な食料供給がありながら低栄養が広がる地域が存在する。では、なぜ食べ物があるにもかかわらず、飢えはなくならないのか。世界の食料データと地域格差を手がかりに、この問題の複雑な背景を読み解いていく。※本稿は、学際的研究者のバーツラフ・シュミル著、栗木さつき訳『世界はいつまで食べていけるのか 人類史から読み解く食料問題』(NHK出版)の一部を抜粋・編集したものです。
世界人口の何%が
飢餓と栄養不良に苦しんでいる?
客観的な評価によれば、世界人口の約10%が飢餓と栄養不良に苦しんでおり、この人たちに十分な食料を供給するという差し迫った課題への対処は、微量栄養素(編集部注/微量ながらも人の発達や代謝機能を適切に維持するために必要な栄養素であるビタミン、ミネラル)欠乏症への対処よりむずかしいわけではないはずだ。この結論は2つの事実に基づいている。
飢餓や栄養不良に苦しんでいる人の総数と、そのおもな原因だ。第一に、慢性的に食料不足に見舞われている人々の総数(低所得国に限った話ではない)が、微量栄養素不足に苦しんでいる人の総数と同じくらいであることだ。FAO(編集部注/国連食糧農業機関)の推計によると、2020年には7億2000万人から8億1100万人が「飢餓に直面」しており、23億7000万人近くが「十分な食料を入手できない」状態にあった。第二に、おもな原因は実際の食料不足ではなく、「恒久的な重度の貧困と所得格差」である。







