このように、投資のすそ野が広がってきた背景の1つとしては、国策による後押しがあります。

 長らく「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられており、一貫して個人の資産形成を促す政策を推進してきました。その狙いは、国民一人ひとりが資産運用を通じて将来不安を軽減することに加え、家計に眠る預貯金を成長企業への投資資金として循環させ、経済全体の活力を高めることにあります。この方針は近年の「資産運用立国実現プラン」にも記載されています。

投資人口の増加が
株価を押し上げる好循環

 こうした政策を象徴するのは、2024年から拡充された新NISAです。新NISAは、買付額が2025年3月末時点で累計59兆円に達し、政府が2027年末の目標としていた56兆円を既に上回る勢いで普及しています。また、iDeCoについても、2016年度末に約43万人だった加入者数が2025年7月末には約371万人へと大幅に増加しています。

 また、こうした動きは企業の福利厚生である企業年金にも波及しています。企業年金は大きく確定給付企業年金(DB)と確定拠出企業年金(DC)の2種類がありますが、2024年3月末でDBの加入者数は903万人、DCの加入者数は約830万人となっています。各制度への重複加入はありますが、第1号厚生年金被保険者数が4157万人(令和5年3月末)であることを踏まえると、3割近い民間サラリーマンは企業年金に加入していることになると見込まれます。

 さらにDCについて、加入者の運用商品の選択状況を見ると、2020年3月末は元本確保型のみで運用している者の割合は34.1%だったのに対し、2024年3月末では24.2%に低下しています。従来、運用の保守性が強いと指摘されてきたDCですが、徐々にリスク性資産への投資割合が増加しています。

 資産運用立国に向けた政策の後押しもあり、着実に投資の裾野は広がっています。この事は株価が上昇する要因の1つであり、結果として「いつの間にか富裕層」の増加に繋がっています。また退職金を得てから運用を始めるのではなく若いうちから資産運用に取り組む人達は、将来の「いつの間にか富裕層」予備軍ともいえるでしょう。